最大輸入元はサウジアラビアで5633万キロリットル・中東依存度92.7%…日本の原油輸入元(石油統計版)
2022/07/25 02:00
先に【日本の石油・石炭・LNGの輸入元実情】で主要エネルギーの石油・石炭・LNGの輸入元について、電気事業連合会が提供している資料を基に、公開資料としては最新となる2020年度分の精査を行った。このうち原油(石油)について別資料となる経済産業省の【石油統計(確報)】を用い、より新しい状況の精査を行う機会を得ることができた。今回はその資料を再整理し、まとめておくことにする。
スポンサードリンク
石油統計は毎月1回月次、毎年1回年次で、日本における原油の輸入元、原油を用いてどのような二次商品を作ったか(ガソリンやナフサ、アスファルトなど)を公開している。記事執筆時点では年次ベースのものは2021年のものが最新値なので、これを用いて先の「日本の石油・石炭・LNGの輸入元実情」と同様のグラフを作成する。
今資料では具体的な輸入量も確認できるので、まずは輸入元別の輸入量を棒グラフ化する。
↑ 日本の原油輸入元(石油統計、万kl)(2021年)
↑ 日本の原油輸入元(石油統計、前年比、万kl)(2021年)
最大の輸入元はサウジアラビアで、2021年の1年間だけで日本は5633万キロリットルもの原油を輸入している。【国産原油供給量(エネルギー白書)(最新)】にもある通り、日本の国産原油産出量は年間で50万キロリットル前後。サウジアラビア1国だけで、日本国産原油の100倍以上もの原油を輸入している計算になる。
次いで多いのはUAE(アラブ首長国連邦)、クウェート、カタール、ロシア。ロシアはともあれ、中東地域の国名が並ぶ。そしてエクアドル、バーレーン、オマーン、マレーシア、アルジェリア、アメリカ合衆国が続く。
これを先の「日本の石油・石炭・LNGの輸入元実情」で掲載したのと同じような円グラフにすると次の形となる。やや比率に変化が生じているが、大勢としては変わらず、中東地域に多分に依存している現状が把握できる。
↑ 日本の原油の地域別輸入比率(石油統計)(2021年)
赤系統色で着色したのが中東地域。オイルショックなどの影響でリスク分散の必要性が認識されたことから、中東地域以外からの輸入が積極的に推し進められ、1987年度には日本の石油における中東依存度は68%程度にまで減少していた。
しかしその後、中東地域以外の産油国の多くが、経済発展とともに自国の原油を消費し始め、輸出ができなくなってしまう事態が生じてしまう。石油統計の資料を見る限りでは、最近では例えば中国がその傾向を見せている。手元にある過去の分も含めたデータでは2011年以降の年次値が確認できるが、年々中国からの輸入量は減少し、2013年ではついにゼロとなり、それは今回年の2021年でも続いている。必然的に中東依存度は再び上昇する。直近の中東依存度は92.7%。
社会を維持するために欠かせないエネルギー源の一つである原油を過不足なく常時確保し、国内に供給し続けるためには、産油国への経済協力をはじめとした国際協調の推進が欠かせない。そしてそれとともに、海路の安全性に関する重要性の認識とその維持への注力、輸入先の分散化が求められよう。
■関連記事:
【中東情勢を再現したシミュレーションゲーム、アメリカの大学院生らが開発し会社も設立】
【産出量52.4万キロリットル、輸入依存度は99.7%…国産原油供給量(エネルギー白書)(最新)】
【トップはベネズエラの3038億バレル、次いでサウジの2975億バレル…主要国の原油確認埋蔵量(最新)】
スポンサードリンク