全国では31.3%、最多普及は山梨県の44.0%…FAXの普及状況

2022/06/30 02:00

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インターネットの普及に伴い、その必要性が大きく減じられた家電の一つにFAX(ファックス)がある。ファクシミリ(facsimile)の短縮語で、電話回線を介して画像情報を送り伝える機器・仕組みを指し、かつては図版を素早く送る手段としては欠かせない存在だった。今では業務用はともかく、家庭用としてはインターネットとデジタルスキャナやデジカメの併用で、ほぼ代替ができる。そのFAXに関して世帯ベースでの普及状況を、総務省が2022年5月27日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、確認していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。

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今調査の調査要項は先行する解説記事【光回線は58.2%、携帯電話回線は56.2%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

次に示すのは回答者の世帯におけるFAXの保有状況。なお機器そのものは存在していてもお蔵入りなどの理由で過去1年間に一度も利用していない、あるいは自前での調達ではなく勤め先から借りていたり経費で購入したものは該当しない。要は今現在でも利用しているFAXが自宅にあるか否か。

↑ FAXの保有状況(世帯単位、属性別)(2021年)
↑ FAXの保有状況(世帯単位、属性別)(2021年)

全体では31.3%が保有している。しかしながら20代世帯ではわずかに1.1%、30代世帯でも5.6%、40代でようやく25.8%となる。50代以降は3割以上を維持し、60-70代では4割超え。この動向を見るに、幼いころからインターネットに触れている世代はFAXの必要性を感じず親元から離れて暮らすようになってもFAXを購入することはなく、かつて必要だった世代はそのまま維持している実情が透けて見える。あと10年も経過すれば、その時の40代の保有率も(今現在の30代がそのままシフトして)数%となるだろう。あるいは必要性が無くなったことから廃棄し、さらに落ち込みを見せるかもしれない。

世帯構成別では若年層の単身世帯が1割足らずと少ない。また、高齢者を含む世帯が一段と高い値を示していることから、高齢者における需要が高いことも推測できる。

世帯年収別ではおおよそ高年収の世帯ほど高保有率。元々年齢が上になるに連れて世帯年収が高くなる傾向があるのに加え、高世帯年収の自営・自由業者や、交友関係上のつながりの点で高世帯年収者ほどFAXが必要な高齢層との関係があるのかもしれない(あくまでも相関関係であり、「FAXを持っていれば高世帯年収になれる」を意味しない)。

深い意味はないかもしれないが、都道府県別の保有率の実情を示したのが次のグラフ。

↑ FAXの保有状況(世帯単位、都道府県別)(2021年)
↑ FAXの保有状況(世帯単位、都道府県別)(2021年)

必要性を考えれば世帯主の年齢との連動が推定されることから、各地域の年齢階層別人口構成比と浅からぬ関係があるように思われるのだが、実際にはそのような動きは見られない。

もっとも低い値を示したのは沖縄県の11.4%、高い値は山梨県の44.0%で続いで静岡県の41.4%、京都府の41.3%。高い値の地域は農業関係でFAXによる連絡を多用しているとの話もあるが、この調査結果からだけではその裏付けはできない。とはいえ、地域によっては今なお3-4割台の世帯で(稼働状態での)FAXが存在しているのには違いない。


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