迷惑・架空請求メール受信経験者は63.9%…インターネットで遭遇したトラブル事案

2022/06/26 02:00

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インターネットを利用できる機器の猛烈な普及率の高まりに連れ、それらによるトラブル事案も増加の一途をたどっている。確率論的には利用者が増えれば事案数が増加するのは当然の話だが、それに加えてデジタル機器、インターネットへの利用に慣れていない人の利用も増えるため、トラブルの発生「率」の増加も懸念される。今回は総務省が2022年5月27日に詳細値を発表した「通信利用動向調査」の公開値を基に、インターネットの利用者におけるトラブルの現状を確認していくことにする(【情報通信白書】)。

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迷惑メール受信経験者は63.9%


今調査の調査要項は先行する解説記事【光回線は58.2%、携帯電話回線は56.2%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。

次に示すのは、インターネットを利用している人における、経験したトラブルのたぐいを複数回答で尋ねた結果。回答時において過去1年との縛りはないので、2020年中の1年間だけでなく、これまでに経験があるか無いかになる。

↑ インターネットを利用して実際に経験したこと(インターネット利用者限定、複数回答)(2020年)
↑ インターネットを利用して実際に経験したこと(インターネット利用者限定、複数回答)(2020年)

迷惑・架空請求メール受信経験者は63.9%。最近はプロバイダやメール受信ソフト側のフィルタリング機能も充実・高性能化しており、低レベルのスパムメールは即時自動的にゴミ箱行き、あるいは着信すらされなくなっている。とはいえ網の目を潜り抜ける事例はいくらでもあり、フィルタをすり抜けるための技も高度化し、場合によっては一日何十件もその類のメールを目にすることになる。また単純な迷惑メールだけでなく、「勝手に有料サイトを利用されたことになっていて、勝手に請求書的メールが届いた」的な架空請求のメールも増えている。

「ウェブ閲覧履歴関連の広告表示など」は少々分かりにくいかもしれない。広告技術の一つとして、ブラウザの履歴をもとに利用者の利用傾向を統計的に推測し、「より需要にマッチしたものを」との「好意」から、多様な広告展開が行われたり、さらにはメールで情報が送られてくる場合がある。メールは利用側の選択で受け取り拒否はできるものの、ブラウザ上の表示広告に関しては難しい。中には関連する商品として、閲覧者にとって不愉快なものが表示されることもあり、迷惑メールと何ら変わりない体験となる。

一方本格的なトラブルともいえる「個人情報漏洩」は11.7%、「ウイルス感染」は11.5%、「フィッシング」は9.0%。ゼロではなく、確実に存在するあたり、これらの事案が実在し、自分の身の回り、自分自身に起きうることを再確認させられる。ただし「フィッシング」は質問票の該当項目では「フィッシング」のみの表記で、補足説明で「実在する企業からの正規のメールやウェブサイトなどに見せかけ、暗証番号やパスワードを入力させる詐欺的な行為のこと」との表記があるか、そこまで目を通さずに回答をスルーしている可能性は否定できない。実受信率はもう少し高い可能性はある。

「端末紛失・盗難」は7.9%。おおよそ13人に1人の割合。過去1年間に限らずこれまでの経験のある無しだが、案外多い実情が見えてくる。

年齢で異なるトラブル発生率


この経験率を回答者の年齢階層別に見たのが次のグラフ。


↑ インターネットを利用して実際に経験したこと(インターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2021年)
↑ インターネットを利用して実際に経験したこと(インターネット利用者限定、複数回答、年齢階層別)(2021年)

具体的な選択肢として全体では最多回答率となる迷惑・架空請求メール受信だが、意外にも高齢層の回答率は低い。メールそのものをチェックしていないのか、インターネットを利用し始めてからまだ日が浅く、経験するまでに至っていないのか、あるいはメールそのものを使っていないのかもしれない。アプリケーションのみの使用とのスタイルも十分ありえる。さらには迷惑メールとの認識をしていない可能性も否定できない。

興味深いのはウイルス感染の割合がおおよそ年を経るほど高い値となること。好奇心旺盛で「さまざまな」サイトにアクセスするが、リスクへの構えは十分でない、積極的な初心者的事例が多い状況が想像できる。「個人情報漏洩」も似たようなパターンが生じている(30代以降はほぼ同じとの読み方もできるが)。

端末そのものを無くしてしまったり、盗難にあったとの事例は若年層が多い傾向がある。特に20代は11.9%、およそ8人に1人が経験している。行動範囲が広いため、出先で利用してそのままつい置きっぱなしにしてしまう、あるいはポケットなどから落ちてしまうなどのパターンだろうか。



余談ではあるが、やや気になったのが「ウェブ閲覧履歴などに関連する広告表示やメールの送付」(グラフ上では「ウェブ閲覧履歴関連の広告表示など」と表記)。他の項目とともに「トラブル的行為」として表記されている。今設問自身は「トラブル」との表記は一切なく単に「パソコン、携帯電話、スマートフォン、タブレット型端末などを利用していて、あなたが実際に経験したものはありますか」との説明のみであるが、何を意図してまとめられているのかは明らか。つまり設問者、そして利用者にとっては、ウェブ閲覧の履歴に連動する形で広告が表示されたり、さらにはメールが送付される事象が、迷惑との認識が多分にあることを意味する。

システムの提供側は「よかれと思って」「利便性の向上のため」のような理由を呈しているが、利用者側が必ずしもそのような受け止め方をしているとは限らない事実に、十分注意すべきではある。


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