高世帯年収ほど高利用率…インターネット機器としての携帯電話やパソコンなどの世帯年収別利用率
2022/06/23 02:00
インターネットの窓口となるパソコンも携帯電話(従来型携帯電話とスマートフォンの双方)も、そして家庭用ゲーム機やタブレット型端末ですら、昔と比べると随分と価格は安くなったものだが、まだまだ誰もが気軽に購入できる領域のものではない。当然その所有率・利用率は個々のお財布事情と浅からぬ関係がある。いわゆる「デジタルデバイド」の要因として経済力が挙げられるのも納得がいく話。今回は総務省が2022年5月27日に詳細版を発表した「通信利用動向調査」の公開値などを基にして、所属世帯の世帯年収別に主要インターネットアクセス機器の利用状況を検証していくことにする(【発表ページ:通信利用動向調査】)。
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世帯年収が高いほどパソコンも携帯もタブレット型端末も利用率は高い
今調査の調査要項は先行記事【光回線は58.2%、携帯電話回線は56.2%…自宅パソコンのインターネット接続回線の種類(最新)】で解説済み。必要な場合はそちらを参考のこと。
まずは全体的な「パソコン」「携帯電話」「タブレット型端末」「家庭用ゲーム機」における、インターネット機器としての利用率。「インターネット利用の有無を問わず、該当属性全体に対する比率」で算出していることに注意。
↑ インターネット用としての機器利用率(2021年)
例えばパソコンは48.1%なので、調査対象母集団の約5割が「パソコンをインターネット端末として利用している」と回答している。携帯電話は73.4%とパソコンを抜いており、「インターネットへのアクセス窓口は携帯電話が最上位」な状況にある。これは2013年から継続している状況で、2013年は日本のインターネット上の歴史における転換点と定義してもよいだろう。
これを回答者の所属世帯における世帯年収別で区分したのが次のグラフ。
↑ インターネット用としての機器利用率(世帯年収別)(2021年)
概要的には「自分が所属する世帯の世帯年収が低いほど、パソコンも携帯電話もタブレット型端末も(インターネット)利用率が低い」傾向が見える。そして世帯年収が低い世帯では、インターネットの利用が(多分に)金銭的なハードルに阻まれていることが推測される。
他方、携帯電話と家庭用ゲーム機では600-800万円未満がおおよその天井のように見える。それ以上の世帯年収では利用率には大きな変化は生じていない。それより低い世帯年収の世帯に対し、どのようにすれば600-800万円未満の世帯水準にまで引き上げられるかそれが一つの課題となるだろう。
高齢層でもモバイル機器は大活躍、だが
世帯年収が高い層では同時に高齢者世帯が多くなるため、デジタル系の利用率は落ちる傾向がある。そこで世帯年収区分とは直接関係はないが、高世帯年収層≒高齢者関連のインターネット接続に関する話を確認するため、同じような区切りで、65歳以上・75歳以上・80歳以上の総計における、インターネットの利用率をグラフ化しておく。
↑ インターネット用としての機器利用率(年齢階層別(一部))(2021年)
若年層から中年層にかけてはパソコンよりも携帯電話によるインターネットアクセスのほうが上回っている。高齢層でも差はいくぶん少なくなっているが、やはり携帯電話によるインターネットアクセスの方が多い。他方、家庭用ゲームは実質的にゼロに等しく、タブレット型端末の利用率は1割にも満たない。
高齢層では携帯電話のような小画面による端末操作が苦手で、以前から慣れ親しんでいるパソコンの利用を好む傾向が強いとされ、実際にパソコンによるインターネットの利用率の方が携帯電話によるものよりも高い状態が続いていた。しかしこの数年においては、今回の2021年分のように携帯電話の利用率の方が高い結果が出ている。スマートフォンの普及によるところが大きく、今後もこの年齢階層においても、携帯電話の利用率がパソコンを抜く状況は継続するのだろう。むしろ両者の差は年々開いていくことになるのかもしれない。
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