1992年には746円にも、直近では623円…40年あまりにわたるサラリーマンの昼食代の推移

2022/07/14 02:00

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先行する記事【前年比709円減の3万8710円…2021年のサラリーマンこづかい事情(最新)】など複数の記事で解説した通り、新生銀行は2021年6月29日付でサラリーマンのこづかい事情などを解説する、年一回のペースによる定点観測調査の報告書「サラリーマンのお小遣い調査」最新版を発表した。一方同社では2012年に同調査の長期間にわたる動向を確認できる白書「サラリーマンのお小遣い調査30年白書」を公開しており、昔からの調査結果を知ることができる。そこで今回はそれらの値を用い、長期的な視野で見たサラリーマンの昼食代の推移を精査していくことにする(【発表リリース:男性会社員のお小遣い額は昨年比微減の38642円、女性会社員は減少の33278円-「2022年会社員のお小遣い調査」結果について】)。

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今調査におけるサラリーマンの昼食代事情は最新版の【前年比24円減の623円…サラリーマンの昼食代事情(最新)】にある通り、厳しい状態が続いている。今項目では1979年の調査開始以降、白書や経年の報告書をたどることで、公開値における昼食代の推移が確認できる(つまり項目自身が調査されていない、あるいは調査されているようだが非公開の年もある)。

まずは全体的な昼食代(「サラリーマン」=男性会社員を対象にしていることに注意)の単純な推移を見ていくことにする。なお今件「昼食代」は、お弁当を持参した場合はカウントされないことに注意する必要がある。

↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(円)
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(円)

もっとも古い公開値の1979年は565円。バブル景気の余韻が残る1992年の746円を頂点とし、あとは漸減。今世紀に入ってから、特に2005年以降の下落ぶりは顕著で、2007年の金融危機ぼっ発直前までの小康状態時期に多少持ち直しを見せるも、その後は再び下落感を強めていた。1979年以降しばらくの間は消費者物価指数も上昇を続けており、その後はほぼ横ばいだった状況を考えれば、実質的な昼食購買力は(1979年と比べて)さらに落ち込んでいたことは間違いない。

一方この2013年以降はトレンド転換の気配を示し、特に2015年では久々に600円を超える値をつけた。2014年4月の消費税率引き上げに伴う食品群の値上げに連動した引上げ部分もあるが、単純な昼食代の上昇と物価上昇分とでは差が生じており(消費税率の引き上げ分を単純試算するとプラス2.86%、食料部門に限った消費者物価指数を勘案するとプラス3.68%となり、2014年の昼食代541円に上乗せすると561円で、2015年の実測値601円とは40円の差が生じる)、物価の上昇とは別に昼食への重点投入が成されていることが分かる。

直近の2022年では前年比で減少し623円。久々の600円台への回復を果たした2021年からは落ちたが、それでも600円台はキープする形となった。

未既婚別に見た動向は次の通り。既婚者の値に関しては公開値から加重平均方式で独自に算出している。

↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(未既婚別、円)
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(未既婚別、円)

2012年ぐらいまではおおよそ未婚者の方が既婚者よりも高い値を示していたが、2013年以降はしばしば既婚者の方が高い値となり、トレンドの変化が生じたようだ。既婚者は育児費用などの負担が大きく、昼食代を値切られている可能性があるなど、低く抑えられる複数の理由が考えられるのだが。未婚者が実態として控えめになったのは、未婚者≒若年層≒社員食堂の利用者多しの図式によるものと考えられる。

↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく、勤務日、属性別、円)(2022年)(再録)
↑ サラリーマンの1回あたりの平均昼食代(弁当持参時をのぞく、勤務日、属性別、円)(2022年)(再録)

直近2年間においては未婚者の方が高い値が出てしまっているが、未婚者が多くを占める20代において、イレギュラー的な高い値が出ているのが原因だと思われる。あるいは新型コロナウイルス流行による勤務体系の変化が影響しているのだろうか。

詳しくは別の機会に解説するが、サラリーマンにおける昼食時間はこの数年ようやく回復基調を見せるものの、それまでは確実に減少を続けていた。生活リズム・スタイル全体がスピードを求められる時代になりつつあるのも一因だが、それとともに今件の金額面もあわせ、昼食時間のせわしさ、つつましさも加速しているようだ。


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