子供のインターネット利用機器の専用・共用実情(ゲーム機)
2021/06/30 03:00
インターネットは子供達の間にも浸透しつつある。電気や水道のようなインフラレベルの身近さにある便利な情報ツールは、子供にとっては好奇心をかき立てるものに違いない。しかしインターネットを取り扱う機器は高額で壊れやすく、また利用時におけるリスクも多々あり、子供に手放しで専用の機器を与えるのは問題だと考える人も少なくない。それは子供に自動車を与え、好きに運転してよいと伝えるようなものなのかもしれないからだ。今回は内閣府が2021年3月31日に発表した、低年齢層のインターネットに関する利用実情を調査した結果【令和2年度版青少年のインターネット利用環境実態調査】の報告書を基に、家庭用ゲーム機を使ってインターネットをする9歳以下の子供達における、そのゲーム機が誰用のものなのかに関して、実情を確認していくことにする。
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今調査の調査要綱は先行記事の【スマホもタブレット型端末も3割強…9歳以下のインターネット利用機器の利用状況をグラフ化してみる(最新)】を参照のこと。
次以降に示すのは該当機器でインターネットを利用している人における、その機器の専用・共用状態。空欄が生じている属性は、該当回答者が存在しないことを意味する。今件はあくまでもその機器でインターネットをしている人が対象のため、インターネット機能を用いずに利用している人も多数いるであろうことは注意する必要がある。つまりこれらの値は、ゲーム機そのものの専用・共用状態をそのまま表しているわけではない。なおインターネット機能を用いたオンラインゲームのプレイも今件のインターネット利用に該当する。
まずは携帯ゲーム機。
↑ インターネット利用機器の専用・共用状態(携帯ゲーム機、該当機器でインターネット利用者限定)(2020年)
総数では37.1%が自分専用、27.7%が保護者と共用、30.1%が兄弟姉妹と共用。兄弟姉妹がいない一人っ子の場合は共用のしようがないので、兄弟姉妹と共用の値は多分に家族構成に影響を受けることになるが、それを別にすれば幼い時は保護者や兄妹姉妹(恐らくは兄姉だろう)との共用が多分となり、4歳以降は少しずつ自分専用の割合が増えてくる。小学校に上がる7歳時点では41.1%が自分専用で、保護者との共用は26.8%。
携帯ゲーム機は1端末で1人のプレイが原則で、共用となると機器の取り合いが生じる可能性がある。遊ぶ時間帯がダブることが少ない保護者との共用ならまだしも、兄弟姉妹と共用の場合は、もめごとのタネになりかねない。仲よく共用できればよいのだが。
次に据置型ゲーム機。
↑ インターネット利用機器の専用・共用状態(据置型ゲーム機、該当機器でインターネット利用者限定)(2020年)
据置型ゲームは総数としては自分専用が18.1%、保護者と共用が41.3%、兄弟姉妹と共用が36.8%。年齢階層別では回答人数が少数なことから、統計的なぶれが大きなものとなっている。実人数としては0歳から3歳まではいずれも1ケタ、5歳までは有意値となる該当人数50人に届いておらず、傾向だったものを見出すのは難しい。
据置型ゲーム機の特徴としては携帯ゲーム機と比べて値段が高い、場所を固定しての利用が前提、複数でのゲームプレイも容易などが挙げられる。家族全体用として、あるいは兄弟姉妹との共用として購入するケースも多々想定できる(タブレット型端末と似たようなスタイル)。あえて6歳以降で傾向を見い出すと、年齢が上になるに連れて自分専用が増え、保護者と共用が減っていくということだろうか。9歳で兄弟姉妹と共用の値が大きく増えるのは、該当者より年上の兄姉だけでなく、年下の弟妹との共用の可能性が出てくるからかもしれない。
繰り返しになるが今調査は該当機器でインターネットを利用している人限定の値のため、ゲーム機そのものの専用・共用の動きとはずれが生じている可能性がある。危険なインターネットにアクセスしないのであれば、自分専用のゲーム機を買ってもよいと許可する保護者もいるだろう。
一方で、ゲーム機を使ったインターネットの利用実情においては、多分に保護者との共用であることが裏付けられたことになる。子供のインターネット利用に関する検証では、大いに役立つ結果には違いない。
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