固定電話のみ世帯は1.6%、携帯電話だけは70.7%…アメリカ合衆国の電話普及率推移
2022/12/06 04:00
【アメリカ合衆国疾病対策予防センター(The U.S. Centers for Disease Control and Prevention、CDC)】は2022年12月付で、同国の世帯単位での電話普及状況を半年間隔で定期的に調査報告するレポート「Wireless Substitution」の最新版(2021年下半期分)を発表した。そこで過去に取得したデータも併せ、最新のアメリカ合衆国における電話の普及状況と過去からの推移について、各種グラフを作成して実情を確認していくことにした。
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固定電話そのものが減る傾向に
データ取得元の詳細や各項目の解説、「携帯電話」の定義内容は一連の記事一覧ページ【定期更新記事:米電話普及状況(半年)(CDC)】で解説している。そちらで確認のこと。
まずは18歳以上の大人に「自分が所属する世帯に関する電話環境」を尋ねたものの結果をグラフ化し、状況を確認する。「携帯電話のみ」に「固定電話のみ」「固定電話・携帯電話双方あり」の3つの選択肢があり、その動向を重ねたのが次のグラフ。ちなみに「携帯電話」とは原文では「wireless telephones」と解説されており、旧来の自動車搭載型の小型携帯式電話、各種携帯型電話(従来型携帯電話、スマートフォンなど)が該当する。
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、大人(18歳以上))
2006年と2007年の間で「固定電話・携帯電話双方あり」「固定電話のみ」に大きな変化が起きている。これは2007年以降において携帯電話関連の項目で設問方法に変更があったため。区分が変わっただけで、実情が大きな変化を起こしたわけではない。
その動きをのぞけば、固定電話はほぼ一貫して減少している。「固定電話のみ」だけでなく「固定電話・携帯電話双方あり」も減っていることから、固定電話の数が物理的に減り、携帯電話に取って代わられていることが確認できる。2022年上半期で、固定電話のみの世帯は1.6%でしかなく、すでに70.7%は固定電話無し・携帯電話だけの世帯となっている。
この現象は18歳未満の子供に尋ねた場合も変わらない。
↑ 自分が所属する世帯に関する電話環境(アメリカ合衆国、子供(18歳未満))
固定電話比率は大人に確認した時よりも低い。最新値では固定電話のみは0.5%となり、携帯電話のみは81.7%と、8割を超えている。これは学生寮などに入り、一人暮らし、あるいはルームメイトとともに過ごす環境下にいる人が多いのが原因と思われる。固定電話に慣れ親しんだ大人世代がいない世帯では、携帯電話の比率が高くなるのも当然ではある。
個人における電話の利用環境
次のグラフは直近期における回答者本人の電話環境を答えてもらったもの(世帯単位ではない)。保有の有無は問わず、生活の中で電話は何を使っているかの実情が分かる。
↑ 自分自身の電話環境(アメリカ合衆国、属性別)(2022年上半期)
全体では携帯電話のみが69.8%、携帯電話メインが15.5%で、携帯電話のみ・メインで使っている人は8割強。固定電話と携帯電話が同じぐらいの人は7.0%、固定電話メインが3.7%、固定電話のみが2.5%。
年齢階層別では25-44歳において8割以上が携帯電話のみ、18-44歳で携帯電話のみ・メインが9割を超えている。65歳以上でも6割強が携帯電話のみ・メイン。高齢層ほど固定電話への執着が強いが、それでも携帯電話は確実に普及を進め、固定電話を駆逐しつつある。
学歴別ではおおよそ低学歴の方が固定電話率が高め。これはむしろ学歴そのものよりも世帯貧困度に影響を受けているものと考えられる。その世帯貧困度では貧困度合いが高い方が電話無しの環境下にある人の方が多い。その一方で携帯電話のみの人も貧困度合いが高い方が多めなのは興味深いところ。携帯電話と固定電話の双方を揃える余裕がないのだろう。
なお「電話無し」の詳しい値は次の通り。
↑ 自分自身の電話環境(アメリカ合衆国、「電話無し」、属性別)(2022年上半期)
他人とのコミュニケーションを拒否しているのか、インターネットでのやり取りのみで十分だと判断できる環境にあるのか、それとも貧困によるものか。理由までは分からないが、全体では1.2%の人が電話無しと答えている。学歴、そして世帯貧困度による値の動きから見るに、多分に貧困により電話そのものが利用できないケースが多そうではある。
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