小中高校生の電子書籍利用状況

2022/06/08 02:00

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紙媒体による出版業界を大きく揺るがしているインターネットだが、同時にそれを紙代わりのインフラとして用い、デジタルによる書籍の提供・販売を行うことで、時代の流れに乗る動きもある。スマートフォンをはじめとするインターネットの窓口となる端末が急速に普及する昨今、子供達の間に電子書籍はどこまで浸透しているのか。今回は内閣府が2022年3月31日付で報告書を発表した、【令和3年度青少年のインターネット利用環境実態調査結果】の内容から、小中高校生における主要インターネット接続端末を用いた、電子書籍の利用状況を確認していくことにする。

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今調査に関する調査要項は先行記事の【インターネット利用端末は小学生では家庭用ゲーム機、中高生ではスマートフォン(最新)】を参考のこと。

次に示すのは主要なインターネットへの接続可能媒体でインターネットを利用している人における、電子書籍の利用状況。設問表では「何をしているか」の対象として「読書をする」とのみ記述され、具体的な説明は無い。別項目に「マンガを読む」があることから、「読書をする」は電子書籍を対象としていると考えてよいだろう。なお有料・無料の別の設定はないため、単純に閲読しているか否かを答えてもらったものと見なす。

グラフ中に一部属性で空欄の部分があるが、その属性では回答者自身が存在しないことを意味する。

↑ 電子書籍利用者比率(該当機種でインターネットを利用している人限定、機種別)(2021年)
↑ 電子書籍利用者比率(該当機種でインターネットを利用している人限定、機種別)(2021年)

自宅用のパソコンやタブレット型端末では全属性で1割に満たない値。女子中学生の7.8%が最大値。従来型携帯電話は自宅用のパソコンやタブレット型端末以上に値が低い。そもそも利用できるサービスがどれほどあるのか、利用できるサービスがあったとしても読みやすさの観点でわざわざ従来型携帯電話を使わざるを得ない人がどれほどいるのかを考えると、理解できる気はする。高校生の値が高めに出ているのは、そもそもの母数が少ないたるの統計上のぶれの可能性が高い(該当者は高校生男子3人、女子5人)。

スマートフォンは全体で14.7%。小学生では数%に過ぎないが、中学生では1割台、高校生になると約2割に落ち着く。男女の差異はほとんどない。他方家庭用ゲーム機ではほとんどゼロ。わざわざ家庭用ゲーム機で電子書籍を読む必要性がどれほどあるのかを考えると、理解できる気はする。

総数で見るとインターネット利用端末の利用者における電子書籍の利用状況としては、スマートフォンがトップ、自宅用のパソコンやタブレット型端末が続くといった具合。また中学生から積極的に読み進められ、高校生ではスマートフォンで2割前後の利用状況を示している。

だがこの値は該当端末でのインターネットの利用者限定。電子書籍の現状を把握するためには、むしろ各属性毎の利用状況を知りたいところ。そこで各属性における電子書籍利用比を算出した結果が次のグラフ。例えば総数のスマートフォンは10.1%の値が出ているので、小学生から高校生を合わせた全体のうち10.1%、10人に1人強はスマートフォンで電子書籍を利用していることになる。

↑ 電子書籍利用者比(各属性全体比、機種別)(2021年)
↑ 電子書籍利用者比(各属性全体比、機種別)(2021年)

元々各該当端末によるインターネット利用率が低い小学生は、誤差の範囲に収まる利用率しかない。実質的に「読んでいる人はナシ」と見ても構わないレベル。中学生になるとスマートフォンでは利用率の高さが後押しする形でそれなりの値を示す。

そして高校生。スマートフォンそのものの利用率が圧倒的な値を示していることから、それを用いた電子書籍の利用者率もグンと跳ね上がる。高校生全体の20.1%、およそ5人に1人はスマートフォンで電子書籍を閲読している計算になる。一方、自宅用のパソコンやタブレット型端末では2.3%にとどまっている。



今件調査は小学生から高校生を対象としたものであるため、当然大学生以上の大人の動向は把握できない。ただ、例えば総務省の通信利用動向調査によれば2015年末時点でインターネット利用者に限定した場合、男性40代でも8.0%に過ぎないとの結果が出ている(2016年分以降の調査では該当項目は存在しないので、これが最新値)。

↑ 電子書籍の購入者比率(2015年末、インターネット利用者限定、比重調整・無回答調整なし)(再録)
↑ 電子書籍の購入者比率(2015年末、インターネット利用者限定、比重調整・無回答調整なし)(再録)

調査様式が異なるため単純比較はできないが、高校生のスマートフォンによる電子書籍の閲読意欲はそれなりに高いと見てよいかもしれない。


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