現役夫婦世帯の持家率は79.0%、そのうちローン支払い中は39.6%…持家・賃貸住宅の割合

2022/06/01 02:00

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総務省統計局の【家計調査】に関する記事について、貯蓄率や住宅所有状況に触れた記事に、「持家の人の方が生活が楽では?」「住宅ローンを払い終わった高齢者世帯の方が出費の負担が低いと思う」などの意見が寄せられた。今回はそれを受ける形で家計調査のデータを基に、「世帯主の年齢階層別に、今住んでいる家が賃貸なのか持家なのか、持家の場合はローンを払っている最中なのか払い済みなのか」の実情を確認していくことにする。

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賃貸住宅の場合は毎月家賃の支払いがあり、賃貸契約更新時には家賃に加えて更新料の支払いが必要になる。一方持家の場合はローンを組んで購入すれば月々・ボーナス払いでのローン返済の負担がある。持家でも一括購入をしたり遺産などで取得した、あるいはローンを完済していればローンの負担は無いが、固定資産税や修繕費などが発生するため、負担がゼロではない(ただし同規模の場合、やはり家賃と比べれば負担は軽い)。

そこでまずは、世帯主の年齢階層別に見た持家率をグラフ化する。ローン完済組・支払い途中組を合わせた、単純な持家率。年金生活者などの状況を含めて確認する際には全世帯を対象に検証すべきではあるのだが、家計調査では「住宅ローン支払い世帯比率」が値として示されているのは二人以上世帯のうち勤労者世帯(原則として現役夫婦世帯)のみ。そこでその世帯に限って精査を行う。つまり、例えば年金の受給と貯蓄の取り崩しで生活を営んでいるような年金生活世帯は対象外となる。

↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2021年)
↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2021年)

当然の結果ではあるが、若年層世帯の方が持家率は低い。世帯主が29歳以下の夫婦世帯では持家率は半数に満たない。一方、定年退職後の70歳以上の世帯で多少持家率が落ちているが、これは資産を整理して子供などに譲渡し身軽になった上で、賃貸住宅などに住むケースが少なからずあることを意味する(勤労者世帯なので、退職後に嘱託やアルバイトなどをしているのだろう)。

持家に居住していない世帯としては、親の住居に間借りする形で住む場合もあるが(親と同一世帯を構成している場合は今件精査対象にはならない)、多分は賃貸住宅での生活となる。家賃・地代を支払っている賃貸世帯の全体的な傾向としては当然、持家世帯とは正反対の形になる。

↑ 家賃・地代を支払っている世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2021年)
↑ 家賃・地代を支払っている世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別)(2021年)

世帯主が29歳以下の勤労者夫婦世帯では半数以上が賃貸住宅に住んでいる。ところが40代になると賃貸住まい率は約2割にまで減少する。50代以降では1割台。70歳以上になるとやや値が上がるのは上記の通り、手持ちの資産を売却した上での賃貸住まい組の増加によるものだろう。

さて肝心の「持家世帯で、ローンを支払い終えた・ローン支払いの必要が無い世帯の方が家計の負担が軽いのでは」の話。次のグラフは持家世帯のうち、ローンを支払い中の世帯と、支払い済み・支払い不必要世帯に分けた積み上げ型の棒グラフ。結果としては世帯主の年齢が上がるほど、ローン返済の必要が無い・終えた持家世帯率が増えている。

↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別・住宅ローン状況別)(2021年)
↑ 持家率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、世帯主年齢階層別・住宅ローン状況別)(2021年)

世帯主の年齢階層別に、生活の苦しさ・楽さを見る際には単なる収入の額(可処分所得ではない)だけではなく、どのような住まいに住んでいるか、ローンの支払いは済んでいるのかも考慮しなければならない。住宅ローンの観点でも、やはり若年層世帯はふところ事情が厳しい、と判断せざるを得まい。



ついでながら家計調査などの記事で触れている「若年層から中年層が多少背伸びをしてでも持家を購入する傾向」について、それを裏付けるデータを一つ算出しておく。

これは二人以上世帯のうち勤労者世帯における、自宅所有者で住宅ローン支払い中の全世帯比率の推移を、一部の世帯主年齢階層別に示したもの。

↑ 自宅所有で住宅ローン支払い世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、一部、世帯主年齢階層別)
↑ 自宅所有で住宅ローン支払い世帯率(二人以上世帯のうち勤労者世帯、一部、世帯主年齢階層別)

若年層から中年層では持家率はおおよそ増加する傾向にある。特に29歳以下と30代の伸び方が顕著である。最近では30代がやや頭打ちになっているが、その分40代の伸びの気配が見受けられる。今後もしばらくは増加傾向を続けることは容易に想像できるので、住宅(市場)事情も少しずつこれまでとは変化していく可能性も、十分考えられよう。


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