主な音楽を聴く機会、YouTubeがトップでテレビが続く

2022/05/28 02:00

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さまざまな音が紡がれて完成する「音楽」を耳にする機会はどこででも、いつでも存在する。街中を歩いている際に商店街のテーマソングが聴こえてくることもあれば、自動車の運転中にカーラジオ経由で曲が耳に入ることもある。スマートフォンでゲームアプリを楽しんでいる場面で、戦闘シーンのBGMを心地よく覚える人もいる。それでは音楽を能動的に聴く手段はどのような認識をされているのだろうか。日本レコード協会が2022年4月に発表した最新調査の結果「音楽メディアユーザー実態調査」(2021年度版)を基に、その実状を確認していく(【発表リリース:2021年度「音楽メディアユーザー実態調査」報告書公表】)。

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調査対象母集団の要項は今調査に関して先行する記事【無関心層が増える…年齢階層別の「音楽との付き合い方」(最新)】を参照のこと。

次に示すのは調査対象母集団において主な音楽の聴取手段とされるルート。冒頭で触れた通り日々の生活の中では音楽と接触する場面、機会は多々あるが、今件は回答者が能動的に「音楽を聴きたい」との意志の下で利用する手段であり、無意識のうちに耳に入ってくる機会とは別。先の例なら、テーマソングを聴くために商店街に足を運ぶ人はいないが、音楽が聴きたいためにカーラジオのスイッチを入れる人はいる。

なお「コンサート・ライブなどの生演奏」における「(単数)」「(複数)」とはアーティスト数を意味する。

↑ 音楽聴取手段(複数回答)(2021年)
↑ 音楽聴取手段(複数回答)(2021年)

最上位はYouTube。44.9%もの人が「音楽を聴きたい時にはYouTubeを使う」と答えている。本来は動画共有のサービスサイトではあるが、今や音楽の取得場としても幅広い認識を集めている。実際、新曲のプロモーションの場としてもYouTubeは大いにその効用を発揮している。

次いで多いのはテレビ。36.5%の人が音楽聴取ルートとしてテレビを思い描いている。同じ4マスとしてのAM・FMラジオは第7位で2割足らず。テレビを観ている人、ラジオを聴いている人は自然に音楽も耳に入るが、あくまでも今件は「音楽を聴く目的でスイッチを入れていると自認している人」に限られる。

次いで多くの人が挙げているのは定額制音楽配信全体。これは「定額制音楽配信サービス」「Spotifyフリープラン・LINE MUSICフリープラン・YouTube Music(無料)」「Amazon Prime Music」のいずれか一つでも該当したものの値を意味する。3割近くもの人が、何らかの定額制音楽配信で音楽を聴いていることになる。

次に音楽CD。これは直接購入したもの以外にレンタルCD、他人から借り受けたものも含む。似たような回答に音楽CDからコピーした楽曲ファイルが第5位に入っているが、これは聴きたい対象の曲は同じで、聴くメディアが異なるだけの話。実質的に機動性に高いスマートフォンや携帯音楽再生プレイヤーで聴くためだけに、音楽CDを購入し、データ化したらCDそのものはお蔵入りとの使い方をする人も少なくあるまい。

YouTubeやニコ動以外の無料動画配信サイトは20.4%、AmazonPrimeMusicは11.1%、定額制有料音楽配信は15.3%、無料音楽配信アプリなどは4.3%。これらのサービスで音楽を聴取する人は確実に存在する。しかし同時に、その程度でしかないのも事実。

リアルな体験も楽しめるとの観点で注目を集めているコンサートやライブは、単数が8.7%、複数が3.4%。複数対象よりは、お目当てのアーティストにターゲットを絞り、足を運ぶ人が多いようだ。もっとも今回調査年は新型コロナウイルス流行の影響でコンサートそのものが軒並み中止となっている実情から、回答値そのものはそれほど高くない。

前年に実施された同様調査の結果との差異を算出したのが次のグラフ。上位陣のみを取り上げている。また2021年分の調査で初めて登場した選択肢は(前年比が無いため)除外している。

↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2021年)
↑ 音楽聴取手段(複数回答、前年比、ppt)(2021年)

コンサート・ライブなどの生演奏や音楽関連イベントなど、ライブ系がプラスを示している。新型コロナウイルス流行前からライブ系が盛況との話はあったが、今回調査結果でもそれが確認できたことになる。新型コロナウイルスの流行で多くの機会が失われているにもかかわらず、この伸びを示した動きには、大いに注目したい。

また2020年分から選択肢として加わったSpotifyフリープラン・LINE MUSICフリープランも前年比でプラス。新型コロナウイルスの流行による社会環境の変化が後押したのだろう。

今件調査がインターネット経由であるのも一因だが、「音楽を聴く」との認識で使っている手段として、すでに物理メディアがデジタルサービスに抜かれている現状は、興味深い話に違いない。


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