外部サービスを利用するか否か、夫婦間でのバランスは?…育児・介護・家事の役割分担の希望(最新)
2023/04/06 02:23
就労者の残業問題や、昨今では新型コロナウイルスの流行による就労者の在宅時間増加で、あらためてクローズアップされているのが、夫婦間における育児や介護、家事の役割分担について。実情は別として、人々はどのような役割分担をするのが望ましいと考えているのだろうか。内閣府が2023年3月27日に発表した、男女共同参画社会に関する世論調査の結果から確認する(【発表リリース: 男女共同参画社会に関する世論調査(令和4年11月調査)】)。
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今調査の調査要綱は先行記事【「夫は外働き、妻は家事」賛成派は3割台で漸減中(最新)】を参照のこと。
次以降に示すのは、育児や介護などのような、生活環境を維持するために家庭内で必要不可欠な行動・役割について、どのような分担を望んでいるかを答えてもらった結果。大きく外部サービスを利用するか否かと、回答者自身と配偶者との間における分担度合いの2つの観点から回答してもらっている。実際に育児や介護をしているか否か、さらには配偶者のいる・いないを問わずに答えてもらっている。
なお、あくまでも回答者の希望なスタイルであり、現状や社会全般の傾向を尋ねているわけではないことに注意が必要となる。また設問の選択肢には他に「無回答」が存在するため、すべての選択肢の値を足しても100%にはならない。
まずは育児について。
↑ 配偶者との役割分担の希望(育児、男女別)(2022年)
第一印象としては外部サービスを利用する意見が多いことから、保育所のようなサービスを利用したいと考えている人が多数派であることが分かる。最多意見は「外部サービス利用・回答者と配偶者で半分ずつの分担」で、これは男性も女性も変わりがない。育児に関しては男女平等が望まれているということか。
興味深いのは次点の選択肢。男性は「外部サービス不利用・回答者と配偶者で半分ずつの分担」なのに対し、女性は「外部サービス利用・回答者の方が多く分担」となっている。男性で外部サービス不利用とする意見が多めになっているのは意外ではある。在宅勤務で時間が取れるから、自分がまかなえるので金銭的に高くつく外部サービスなどいらないということだろうか。あるいは単に外部サービスで生じるトラブルを懸念しているのかもしれない。
また、女性は外部サービスを利用するにせよしないにせよ、配偶者=男性により多く育児を分担してもらうつもり人はごく少数でしかないことが確認できる。そもそも男性にはできないから、あるいは難しいからとの認識なのかもしれない。
続いて介護。
↑ 配偶者との役割分担の希望(介護、男女別)(2022年)
介護はその性質上、圧倒的に外部サービスを利用するとの希望が多い。外部サービス不利用はごくわずかでしかない。外部サービス不利用との希望は全部の選択肢を合算しても5.8%、女性に限れば4.2%でしかない。
その外部サービス利用希望の中でも、配偶者と分担を半々にするとの意見がもっとも多く、男女を問わずに7割強。次いで男性は配偶者が多くで8.4%だが、女性は自分が多くで16.6%。育児ほどではないが、男性も女性も「介護を男性に任せるのは不安な点が多い」との思惑があるのかもしれない。
最後は育児・介護以外の家事。例えば掃除や洗濯、料理などを指す。
↑ 配偶者との役割分担の希望(育児・介護以外の家事、男女別)(2022年)
家事の中には外部サービスの利用が一般的でないものもあるため、回答者がイメージする対象によって意見が分かれてしまいかねないが、おおよそ外部サービスを利用する・利用しないで半々ぐらいの割合となっている。いくぶん、不利用が多いぐらいだろうか。
夫婦間の分担度合いでは、半分ずつとの意見がもっとも多く、次いで男性では配偶者が多く、女性では自分が多くとの意見が多数を占めている。介護同様家事全般でも、男性に多くを任せるのには不安が大きいとの意見が多々あるのだろう。
今件はあくまでも回答者の希望を尋ねた結果であり、現在の環境や社会全体としてあるべき姿ではないことに注意が必要となる。とはいえ、夫婦間における育児や介護などの分担について論議が交わされることが多い昨今では、大いに参考になる話には違いない。
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