【更新】日本-48.4%、アメリカ-37.7%、イギリス-42.9%……主要リート市場の年間収益率

2009/02/15 17:56

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リートイメージ住信基礎研究所は2009年2月6日、J-REIT(不動産投資信託)に関する調査レポートを発表した。それによると、2007年から2008年にかけて、金融危機と不動産価値の下落に伴い、REITの価格も大幅に下落、日本だけでなく主要国で年間収益率が大きくマイナスに下落していることが明らかになった。同レポートでは公的資金による資金繰り支援、自立的回復や持続的成長に向けた「業界再編」などの早期対応を求めている([発表リリース、PDF])。



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J-REITは日本版のREITであり、元々多額の資金のやりとりが必要な不動産の運用(売買や賃貸物件の保有と維持)について、株式会社のような形で資金を細切れにして募るというもの。2005年前後の「不動産プチバブル」を生み出す一因にもなったが、同時に2007年以降の金融危機の際には大きな痛手を受けることになった。さらに不動産市場の軟調さを受けて大きく値を下げ続け、2008年には新規上場銘柄が皆無となり、その上10月にニューシティ・レジデンス投資法人が経営破たん。マインドは冷め切り、時価総額は前年比で-48.4%と言葉通り「半額セール」状態に(ピーク時の61%減)。

このような状況は日本に限らず、金融危機と不動産市場の軟調がほぼ連動している各国でも似たような事態に陥っている。レポートでは主要REIT市場における年次のトータルリターン(年間収益率)が掲載されているが、2007年にその姿を見せ始めた金融危機が、2008年には大きな影響を見せている様子がよく分かる。REITが下げているのは日本だけではないということだ。

主要REIT市場の年次トータルリターン比較(2006年のイギリスの値は未掲載)
主要REIT市場の年次トータルリターン比較(2006年のイギリスの値は未掲載)

ヨーロッパの中ではもっとも不動産不況が深刻なイギリスでは2007年の時点からすでに大きな下落を見せていたのが分かるが、同時に日本が「2007年はまだマシだったのが、2008年に入ると大きく値を下げている」のが確認できる。これは先に述べたようにニューシティ・レジデンス投資法人の経営破たん、リプラス・レジデンシャル投資法人(現日本賃貸住宅投資法人)のスポンサー破たんなど、不動産市場の軟調だけでなく「J-REIT」という枠組みにおいても不安が生じる材料が相次いだのが大きな要因。

今後は冒頭でも(そしてレポート内でも)触れたように、公的資金による資金繰り支援、自立的回復や持続的成長に向けた「業界再編」などの早期対応が求められている。ただし不動産市場そのものがいまだに供給過剰であること、買い手と売り手の心境(要は妥協し得る価格帯)にはいまだに大きな隔たりがあることから、それに連動する形のJ-REITも今しばらくは不安定な動向を余儀なくされることだろう。


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