流行の新しい言葉たち、そのまま使うべきか説明を付けて使うべきか、それとも
2022/10/23 03:00
言葉はコミュニケーションの道具であることから、社会に変化が生じればその変化に応じた言葉が生まれることになる。また新しい概念や注目を集めたい物事に対し名付けをしたり改めて定義したり、すでに命名されているが大きく喧伝することで認知度を高めたりして、広く使われるよう求められる言葉もある。今回は文部科学省が2022年9月30日に発表した「国語に関する世論調査」の結果から、それら新しい言葉のうち、新型コロナウイルスの流行で生じたものについて、どのような対応をすべきであるかと人々は考えているのか、実情を確認する(【発表リリース:令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。
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今調査は2022年1月に全国16歳以上の個人に対して郵送法で行われたもので、有効回答数は3579人。年齢階層別や男女別などの属性別区分の内容は非公開。
次に示すのは新型コロナウイルスの流行の中で生まれた、あるいは元々あったものの一般にはほとんど知られていなかったが大きな注目を集め使われるようになった言葉について、今後もそのまま使い続けるのがよいのか、それとも意味が分かりにくいなどの理由で説明を付けた上で使うのがよいのか、あるいはこの言葉は使わずに別の言い方をした方がよいのかを尋ねた結果。あくまでも回答者の思惑であり、法や国の指導でそうするように定められたわけではないことに注意。
↑ 挙げた言葉の使われ方について、どのように思うか(2022年)
挙げられた言葉の中ではもっとも多くの人が「そのまま使う」としているのは「おうち時間」で69.1%。インドア生活、自宅内で過ごすことやその時間の長さを指す言葉だが、新型コロナウイルスの流行で外出自粛を求められるようになった際に生まれたとされている。幼児語的な「おうち」に時間を合わせただけの簡単な造語で、一目で意味も分かりやすいことから、多くの人が説明の必要も無くそのまま使っても問題はないと判断しているようだ。「使わずに別の言い方を」の人は12.0%にとどまっている。
「黙食」は64.9%が「そのまま使う」。言葉の字面通り、黙って食べることを意味するものだが、食事の際にしゃべることで新型コロナウイルスの感染の要因となる飛沫感染を生じやすくなることから、大いに勧められている。一方で、多人数が集まった場での会食や給食などにおいては、他人とのコミュニケーションも楽しみの一つであることから、反発も大きなものがある。
「人流」は50.2%が「そのまま使う」。「じんりゅう」と読み、字面の通り「人の流れ」を意味するものだが、人の行動様式を分析することで、元々街づくりや防災、観光などにおいて活躍するものとして注目を集めていた。新型コロナウイルスの流行により、流行そのものの傾向や、各種制限でいかなる変化が生じ、効果がもたらされたのかを知ることができるものとして、注目を集めている。こちらは「説明を付けて使う」が30.0%とやや多めになっている。
「ワクチンパスポート」は「そのまま使う」が44.9%、「説明を付けて使う」が41.1%。新型コロナウイルスのワクチンを接種したことを証明するもので、正式には「新型コロナウイルスワクチン接種証明書」と呼ばれている。海外への渡航の際に使えるように国が創設した制度で、書面だけでなく電子版でも交付されている。読み方から何となく意味は分かるが、その制度の詳細を知っている人がどれだけいるのかを考えると、「説明を付けて使う」が4割を超えているのも理解はできる。
「エアロゾル」「ブースター接種」「ブレイクスルー感染」「ニューノーマル」はいずれも「そのまま使う」が1割台にとどまり、「説明を付けて使う」が5-6割台となっている。言葉そのものは見聞きしたことがあり、意味もぼんやりとは分かるものの、その詳細を理解している人はそれほど多いとは思えない。あるいは分からない部分かあるからこそ、「説明を付けて使う」を選択したのかもしれない。
また、「エアロゾル」「ブースター接種」「ブレイクスルー感染」「ニューノーマル」では「使わずに別の言い方を」が2-3割台にも達している。いずれもがカタカナ言葉となっているので、「黙食」などのように漢字などを用いてぱっと見で理解できるような言い回しを求めているのだろうか。
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