40代前半が最多利用者…年齢階層別鉄道の利用状況(最新)
2021/12/22 02:48
通勤や通学、買い物で多くの人が利用し、日常生活には欠かせない公共交通機関、鉄道。日々絶え間なく利用されているが、利用客の中でどの年齢階層の人達が一番多いのだろうか。国土交通省の調査【大都市交通センサス】の結果からその実情を確認する。
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今調査の調査要綱については先行記事【朝の通勤ラッシュ時間帯が一番多い…時間別鉄道の利用状況(最新)】を参照のこと。
次に示すのは、首都圏における鉄道利用者を年齢階層別に区分したもの。公開値には乗車以外に降車のデータもあるが、回答ミス以外は原則として乗車すれば必ず降車するので、乗車のデータで年齢を確認する(無論、乗車と降車の時刻にはずれが生じていることもある)。例えば15歳未満は1.8%とあるが、これは全鉄道乗車者の1.8%が15歳未満であることを意味する。
↑ 鉄道乗車数構成比(年齢階層別)(2015年)
最多年齢階層は40代前半で11.4%、次いで45-49歳の10.4%。40代で全鉄道乗車者の2割強を占める計算となる。大学生ぐらいから壮年層までは9%前後が維持されているが、50代後半になると値が急に落ち込む(50代前半からとも解釈可能)。現役世代ではあるが、高齢になると鉄道での通勤がつらくなる、あるいは鉄道を使わなくてもよい立場に就く、さらには鉄道通勤をしなくてもよい職場に異動する人が多くなるのかもしれない。
他方、70歳以上の区分では5歳区切りではないものの、6.1%と大きな値が出ている。これは後述するように、仕事や業務ではなく私事、おそらくは旅行や買い物に鉄道を使うケースが多々あるものと考えられる。
これを主要な目的別に区分した結果が次のグラフ。
↑ 鉄道乗車数構成比(年齢階層別・目的別)(2015年)
全体では現役世代の利用率が高いのは前グラフの通りだが、通勤や業務ではその割合がさらに大きなものとなる。未成年者や高齢層では就業をしていない人が大多数なのだから、当然といえばそれまでの話だが。その通勤や業務だが、おおよそ同じように見えるものの、いくぶんながらも業務の方が中年層以降の割合が大きくなっている。これは前述の通り、就業先が鉄道利用による場所ではない(大部分は自宅そば、さらには自宅そのものの自営業など)ものの、業務の上では鉄道を利用しているケースが多々あることを推測させるものである。
通学は当然ながら大部分が未成年者、あるいは20代前半。20代前半は大学生だろうが、通学目的で鉄道を利用している人のうち1/3以上は大学生ということになる。
私事では業務以上に中年層から高齢層、特に高齢層の割合が大きなものとなる。60歳以上で3割以上を占めている。定年退職を迎えた後、旅行や買い物などで鉄道を利用する人が多々いるのであろう。
今件データは2015年時点のもののため、高齢化が進み、新型コロナウイルスの流行で就業スタイルに大きな変化が生じた現在では、小さからぬ違いが生じている可能性がある。次の調査の結果と、今回の値との比較は社会の大きな変化を実体感させてくれるものになるだろう。
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