朝の通勤ラッシュ時間帯が一番多い…時間別鉄道の利用状況(最新)
2021/12/21 02:58


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大都市交通センサスは基本的に5年ごとに首都圏、中京圏、近畿圏の三大都市圏を対象に、鉄道やバスなどの大量公共交通機関の利用実態を確認するために行われている調査で、直近は2015年に実施されている。2015年の調査では鉄道利用者に対しては2015年11月17日-19日にかけて対象駅での調査票の配布・郵送かオンラインによる回収方式で実施されており、有効回答数は233万人。また鉄道における自動改札機のデータによる調査も併せて実施されている。なお本来は2020年に調査が実施されるはずだったが、新型コロナウイルスの流行を受けて中止されている。
次に示すのは、首都圏における鉄道利用者がいつ鉄道に乗車したのかの実情。公開値には乗車以外に降車の時刻データもあるが、回答ミス以外は原則として時刻は違えど乗車すれば必ず降車するので、乗車のデータで利用時間帯を確認する(無論、乗車と降車の時刻にはずれが生じていることもある)。例えば7時台は19.3%とあるが、これは全鉄道乗車者の19.3%が7時台に乗車したと答えていることになる。

↑ 鉄道乗車時刻分布(2015年)
全乗車者の19.3%が7時台に鉄道に乗車している。次いで多いのは8時台で13.0%。7-8時台で全乗車者のうち3割強が乗車している計算になる。この時間帯では駅や鉄道自身が大いに混雑し、いわゆる「朝の通勤ラッシュ」的な状況になるのも理解はできる。
似たような乗車率の高さは17-18時台にも確認できる。これが「帰宅ラッシュ」だろう。だが15.9%と、7-8時台の32.3%と比べれば約半分にしか過ぎず、少なくとも統計の上では「帰宅ラッシュ」は「朝の通勤ラッシュ」と比べればそれほど酷い混雑ぶりではないことがうかがえる。
昼間は乗車率は低めとなるが、12時台にはいくぶん増える。これは昼食で鉄道を利用する人や、午後から出勤、あるいは移動をする人がいるからだと思われる。
これを回答者の目的別に区分したのが次のグラフ。

↑ 鉄道乗車時刻分布(目的別)(2015年)
通勤と通学では朝の時間帯におけるピークはほとんど同じで、これが「朝の通勤ラッシュ」を生じさせる一因であることがうかがえる。通学は通勤と比べて少し時間が間延びしてるが、これは大学生などのように就学開始時間が遅い人もいるからだろう。
業務は9時以降10%以上を維持し、12時台にもっとも高い値となる。昼食時間帯に併せて移動をしているのだろうか。他方、私事では9時台がピークになるが、19時台まで緩やかに値を落としながらも一定数が乗車している結果が出ている。私事で鉄道を利用する人は、目的も時間帯もまちまちということか。9時台にピークとなるのは、一日がかりで出かける人がこの時間帯に利用するからだろう。
帰宅は17時台から値を大きく増やし、18時台がピーク。昼間でもそれなりの値が生じているのは、就学者によるものが多々あるからだと思われる。
余談として。仮に乗車と降車を合算したらどのようになるのかを試算したのが次のグラフ。多くの人が数時間かけて電車で移動しているとすれば、乗車のピークと降車のピークには数時間のずれが生じるので、単純な乗車の実情とは異なる傾向が見えるはず。鉄道駅の混雑ぶりの実情としては、こちらの方が近いかもしれない。

↑ 鉄道駅利用時刻分布(乗車と降車の合算から試算)(2015年)
結果としてはずれが生じてはいるが、「朝の通勤ラッシュ」「帰宅ラッシュ」ともに変わらない時間帯との結果が出ている。鉄道利用者の多くは、数時間も乗車しているわけではないということだ。ただし乗車のみでは最大値が7時台だったのに対し、乗車・降車の合算からの試算では8時台になっていることから、「朝の通勤ラッシュ」時には1時間前後の乗車をしている人が相当いることがうかがい知れる次第ではある。
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