運転免許保有の高齢者のうち自主返納などをするつもりの人は6割強

2021/11/25 03:00

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2021-1121高齢者の人口比率の増加や一人暮らし世帯数の増加などを主な原因とし、高齢者による自動車の交通事故が社会問題化している。その対応策の一環として進められているのが、高齢者に運転免許の自主返納などを勧める動き。現在運転免許を保有している高齢者は、運転免許の自主返納などの意向はあるのだろうか、その実情を内閣府が2021年3月に発表した調査結果【高齢者の交通安全対策に関する調査(令和3年3月)】を基に確認していく。

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今調査の調査要綱は先行記事【高齢者の運転免許の自主返納などの理由、トップは「自身の運転に自信がなくなった」】を参照のこと。

調査対象母集団のうち運転免許を保有している人に対し、それを自主返納などする予定はあるのか否かを尋ねた結果が次のグラフ。いつ実行するのはともかく、回答時点で自主返納などをするつもりがある人は64.2%に達していた。

↑ 免許保有者の自主返納などの意向(2020年度)
↑ 免許保有者の自主返納などの意向(2020年度)

自主返納などをするつもりがない人は14.9%にとどまっている。ただし回答時点では分からない、判断留保の人も20.9%おり、仮にこの半分が「するつもりがない」に回るとすれば、1/4ほどは運転免許を自主返納などするつもりがないということになる。自主返納などをした方がよいのか否かは個人の状況次第だが、微妙な値には違いない。

この動向について居住地区別や運転頻度別に再計算した結果が次のグラフ。回答者の年齢階層別や自己認識している健康状態別の区分は無い。

↑ 免許保有者の自主返納などの意向(属性別)(2020年度)
↑ 免許保有者の自主返納などの意向(属性別)(2020年度)

居住地区別では、公共交通機関が整備され、生活に必要な施設までの距離がさほど離れていないであろう都市部居住者は自主返納などの意向の値が高い。他方、おおよそ地方に行くに連れ、生活の上で自動車の必要性が増すであろうことから自主返納などの意向の値は低くなる。

ただし自主返納などをするつもりがない人の値は都市部とさほど変わらず、分からないとする意見が増える傾向があるところを見ると、自分で自動車の運転ができなくなることで生じる日常生活の不便さと、自分の運転によるリスクを天秤にかける人が増えている感はある。都市部ならば自分で自動車が運転できなくなっても、日常生活でさほど困ることはない人が多いのだろう。

運転頻度別では、おおよそ高頻度運転者ほど自主返納などの意向の値が低い傾向がある。これも結局は居住地区別と同じ理由で、日常生活の上で必要度合いが高い人は運転頻度も高くなり、必然的に運転免許を自主返納などして自分で自動車の運転ができなくなると、日常生活に問題が生じてしまう可能性が高くなるからだと思われる。

先行記事「高齢者の運転免許の自主返納などの理由、トップは「自身の運転に自信がなくなった」」でも触れているが、日常生活の上で自動車の運転が不可欠だった人も、バスや鉄道などの代替手段を確保することで、運転免許の自主返納などへ動くケースもある。地方においてはとりわけ、そのような代替手段の確保や環境整備が求められているのだろう。


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