新型コロナで休校中に小学生は友達とどのようにコミュニケーションを取っていたのか(最新)
2021/06/25 03:42
学校は単に学び舎としての存在だけでなく、同世代の人とともに時間を過ごし、コミュニケーションを取り、社会性を学ぶ場でもある。ところが新型コロナウイルスの流行により、多くの学校では休校措置が取られ、その場が奪われる形となった。このような状況下で、子供達はどのようにして友達とコミュニケーションを取っていたのだろうか。学研教育総合研究所が公開している「小学生の日常生活・学習に関する調査」の結果から、小学生の実情について確認を行う(【白書シリーズWeb版】)。
スポンサードリンク
今調査の調査要項は先行記事の【小学生の就寝時刻(最新)】を参照のこと。
次に示すのは小学生に対し、新型コロナウイルス流行による措置として実施された学校休校の期間中、自分の友達とどのようにコミュニケーションを取っていたかを複数回答で尋ねた結果。設問文面は「休校期間中、友だちとどのようにコミュニケーションをとっていましたか。(複数回答可)」となっている。
↑ 休校期間中に友達とどのようにコミュニケーションを取っていたか(小学生、複数回答)(2020年)
具体的な手段でもっとも多かったのは「直接会う」で20.4%。元々外出、他人との接触をひかえるような話はあるものの、それでもなお直に会ってコミュニケーションを取りたいと思う人は少なからずいたことになる。あるいは物品の引き渡しなどで直接やり取りする必要があったのかもしれない。
次いで多いのは「オンラインゲーム」の14.8%。設問の「友達」の定義が明確化されていないので、小学校における友達なのか、ゲーム上でのみ知り合っている友達なのかまでは不明だが、ともかく回答者が友達と認識している相手と、オンラインゲーム上でコミュニケーションを取ったと自覚している人が14.8%いる。
次に続く「LINEなどのアプリ」10.0%はオンラインゲームと異なり、多くは小学校における友達とのやり取りだろう。意外に少ないようにも思えるが、そもそも小学生でスマートフォンなどを使いLINEなどのアプリを使える人がどれだけいるのかを考えると、妥当かもしれない。ちなみに今調査における、自由にスマートフォンを使える小学生は家族との共有で20.7%、小学生自身の専有で13.8%にとどまっている。
「電話」「メール」「SNS」、さらには「オンライン授業」なども回答値はあるものの少数。「メール」「SNS」より「電話」の値が高いのは、直に声を聞きたかったというのもあるのだろう。
取った人の項目について、属性別に動向を見たのが次のグラフ。
↑ 休校期間中に友達とどのようにコミュニケーションを取っていたか(小学生、複数回答、属性別)(2020年)
男女別ではそれぞれの特性がよく表れる結果となっている。男子は「オンラインゲーム」が、女子は「LINEなどのアプリ」が明らかに高い。それぞれ普段からどのような手段で友達とコミュニケーションを取っていたのか、その手段を使えるのかが分かる。
学年別に見ると、小学生低学年では「直接会う」がもっとも高く2割超えだが、小学4年生以降になるとやや値が下がり、その分「オンラインゲーム」「LINEなどのアプリ」が増えていく。意外に「SNS」はさほど多くはないが、スマートフォンを使える環境にある人でも、LINEなどのアプリで要件を充当してしまいSNSまで使う機会がない、あるいはそもそもSNSは使っていない・使わせてもらえないのかもしれない。
一方で白書側でも問題視している選択肢「ほとんどコミュニケーションを取っていない」の属性別動向は次の通り。
↑ 休校期間中に友達とはほとんどコミュニケーションを取っていない(小学生、属性別)(2020年)
全体では56.1%と過半数が、直接会ったりオンラインゲームやLINEなどのアプリ、電話などによる手段での友達とのコミュニケーションをほとんど取っていないとしている。男女別の差異はさほどないが、学年別では小学1年生から小学4年生までが高めの値を示している。小学5年生以降で低下するのは、オンラインゲームやLINEなどのアプリを使えるようになるからだろう。
「ほとんど」なのでまったくないだけではなく、数えるぐらいはしたことがある人も該当しているのだろうが、それでも長期間にわたり過半数の小学生が「友達とコミュニケーションをほとんど取っていない」という状況は、好ましいものとは考えにくい。
■関連記事:
【小学生が家庭内で自由に使える通信機器は何だろうか(最新)】
【夫婦で、親子でコミュニケーションしてますか? 意外な差が出る男女間の認識】
【夫婦間・子供との間のコミュニケーションが取れない理由、上位は時間が合わない・時間が取れない】
スポンサードリンク