世界の神や宗教への考え方(2017-2020年)(最新)
2021/02/09 05:09
世界には多様な宗教が存在し、その多くには神となる存在が認識されている。具体的にどの宗教がどれだけ浸透しているのかどうかはともかくとして、人々の中にどこまで宗教、そして神は深く根付いているのだろうか。世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】の公開データを基に、いくつかの設問を介して確認していくことにする。
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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参照のこと。
最初に示すのは回答者の人生にとって神の存在はどれほど重要か。1-10の選択肢で答えてもらっており、その平均値を国単位で算出している。なお具体的にどの宗教の神などかは指定していない。あくまでも回答者が認識した対象である。また今回取り上げる設問については現在集計中らしく値が非開示となっている、あるいは元から設問が用意されていない可能性がある国が複数確認できる。
↑ 自分の人生において神の存在はどれほど重要か(1(重要でない)-10(大変重要)の選択肢での平均値)(2017-2020年)
エジプトやフィリピン、イラン、コロンビアのような宗教観の強い国では軒並み高い値が出ている。ブラジルまで含め、これらの国では平均値が9.00を超えているほど。おおまかにはイスラム系の国で値が高い印象がある。他方、中国やスウェーデン、オランダ、イギリスなどは低い値に留まっている。歴史的背景や現状の社会体制なども多分に影響しているのだろう。
日本はといえば4.52。対象国の中ではやや低いといったところ。
続いて神の存在を信じるか。ここでは対象を特定せず、回答者が神という言葉から想像する対象の存在について尋ねている。
↑ 神の存在を信じるか(信じる人の割合)(2017-2020年)
おおよそ自分の人生で神の存在が重要だと思っている国ほど神の存在そのものを信じる傾向があるようで、1つ目のグラフの上位国がこちらでも上位を占める形となっている。当然といえば当然の話ではあるのだが。複数国が9割を超えており、特にフィリピンとイランは99.0%を超えほぼ全員という結果が出るほど。
日本はといえば39.2%と4割近く。八百万の神(やおよろずのかみ)も神には違いないのだが、それにしては少ない値ではある。
続いて、宗教観とはずれが生じているかもしれないが、死後の世界を信じるかという設問。
↑ 死後の世界を信じるか(信じる人の割合)(2017-2020年)
先行する2つの設問で高い値を示したイスラム系の国が上位に並んでいる。当然の話ではあるが、同時にアメリカ合衆国が7割近くで上位に入っているのが注目に値する。
日本はといえば32.2%で対象国の中では下から2番目。3割程度しか死後の世界は信じていない。もっともデータの詳細を確認すると、信じない人は34.7%でしかなく、「分からない」と答えた人が32.6%に達している。他の設問のパターン同様、「分からない」の値は日本が一番高いものとなっている。確定し得ない、自信が無いものはとりあえず「分からない」と答えておくという処世術的なものが浸透しているのだろうか。
最後は「科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい」というもの。多様なケースが考えられる。
↑ 科学と宗教が対立する場面では常に宗教が正しい(強い同意=+2、同意=+1、不同意=−1、強い不同意=−2)(2017-2020年)
先行する各設問で高い値を示したイスラム系の国の多くがプラスを示しており、科学よりも宗教を重んじるという実情がうかがい知れる結果となっている。とはいえマイナスを示す国の方が多数であることもまた事実。
宗教観の薄い中国のマイナス幅がもっとも大きくマイナス1.370、次いでニュージーランド、オーストラリア、日本と続く。アメリカ合衆国がマイナス0.441でしかないのは少々怖い気がする。ちなみに日本ではこのポジションでも、「分からない」の回答値が30.5%と高い値を示していることを補足しておく。つまりそれだけ宗教と科学を天秤にかけた際の科学へのウェイトが高い次第ではある。
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