日本における投票姿勢(2017-2020年)(最新)

2021/02/05 05:40

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2021-0126選挙は民主主義を支えるのに必要不可欠な制度ではあるが、投票行動は日本においては義務化されていないため、投票をするもしないも個人の判断に任せられている。無論、投票をしなくても罰せられることはないが、民主主義で得られる権利を放棄していることに他ならない。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】の結果を基に、日本における国民の投票姿勢の実情を確認していくことにする。


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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参照のこと。

次に示すのは日本に限定して、国政選挙への投票をどのように考えているかについて答えてもらった結果。あくまでも回答時点の考えなので、実際に投票したか否かとは別の話となる。また、世界価値観調査は全体としては2017-2020年に実施されたものだが、日本に限れば2019年の実施であることから、表記は2019年としている。

↑ 国政選挙への投票姿勢(日本、属性別)(2019年)
↑ 国政選挙への投票姿勢(日本、属性別)(2019年)

全体では57.9%が常に投票する、29.8%が大体投票するとしている。行かない、つまり投票しないという人は11.2%でしかない。この「常に」と「大体」を単純に加算すれば9割近くとなり、国政選挙での投票率ももう少し高くてもいいような気もする。しかし投票意欲は強いのだが、実際の選挙となると気まぐれ、面倒くささ、自分が投票しなくても大勢は決しているからと判断して、天候の悪化、スケジュールの問題など多様な理由で投票をパスしてしまうのだろう。

年齢階層別にみるとおおよその予想通り高年齢ほど投票意欲は強く、65歳以上では76.6%もの人が常に投票していると答えている。16-24歳では(16・17歳は元々投票権がないために「その他・無回答」にならざるを得ないが)35.6%に留まっている。

就業状態別で見たのは「フルタイムで働く人などは忙しいので投票する時間を作るのが難しいから意欲も落ちるのでは」との思惑によるもの(国政選挙は原則休日に実施されるのだが)。年齢に連動する部分もあるのだろうが、時間的に忙しい就業状態の人ほど投票意欲は低くなるようだ。フルタイムやパートタイム、学生などは常に投票する人が低い値となってしまっている。学生が特に低いのは投票権がないからではなく、休日の時間をわざわざ投票に割くのはもったいないとの思惑によるものだろう。

ちなみに国政選挙ではなく地方選挙で同様の問いをした結果が次のグラフ。

↑ 地方選挙への投票姿勢(日本、属性別)(2019年)
↑ 地方選挙への投票姿勢(日本、属性別)(2019年)

自分自身に直接関係する(ように思える)地方選挙であることから、国政選挙と比べておおよそ意欲の強い実情が確認できる値が出ているが、傾向そのものは国政選挙と変わらない。高齢層ほど投票意欲は強く、就業で忙しい人は投票を忌避する傾向がある。

実際の選挙となるとここから多分にマイナス要素が加わり、実投票率は相当落ちてしまう。天候など手の打ちようがない要因もあるが、投票意欲をそのまま実投票につなげ、投票率を上げるために打てる手は色々とありそうだと思わせる結果には違いない。


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