自国の選挙の集計や報道の公正さへの認識(2017-2020年)(最新)
2021/02/04 05:40
民主主義を支えるのに欠かせない仕組みの一つとして挙げられる選挙だが、その結果は大きな影響力を持つことから、色々な思惑による画策が生じ得る。今回は世界規模で国単位の価値観を定点観測している【World Values Survey(世界価値観調査)】の結果を基に、自国の選挙において集計や報道の公正さがどの程度保たれているのかの認識について確認をしていくことにする。
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今調査「World Values Survey(世界価値観調査)」に関する概要、調査要項などは先行記事の【世界各国の「新聞・雑誌」や「テレビ」への信頼度】を参照のこと。
はじめに示すのは自国の選挙に関して投票が公正に集計されているか否かについて。これは実情ではなく、回答者がどのように思っているかを答えてもらったものに過ぎない。公正な集計への信頼度合い読むこともできる。
↑ 自国の選挙において投票は公正に集計されている(ほぼ常に=+2、おおよそ=+1、あまりそうではない=−1、まったくそうではない=−2での平均値)(2017-2020年)
選挙の集計についてもっとも公正さで信頼されているのはスウェーデン。次いでニュージーランド、スイス、ドイツ、フィンランド。逆に信頼されていない、公正でない集計が行われていると疑う人が多いのはイラク、メキシコ、コロンビア、ブラジル、ルーマニア。実情は別として、割と印象通りの国が並んでいる感はある。
日本はといえばプラス0.960。詳細を確認すると公正な集計は行われていないと考えている人は15%ほどいる。ただし分からないとの回答をした人も15%ほどおり、これが全体的な値を低いものとした一因といえよう(このパターンは今設問に限らず、日本では結構多い)。
次にジャーナリストの報道姿勢。自国の選挙においてジャーナリストは公正に報道しているか否か。設問原文では「Journalists」とあり、単純にジャーナリストを自称・他称する人だけでなく、新聞や雑誌の記者、報道関係者なども含むが、報道媒体全体は含まれないと解釈できる。
↑ 自国の選挙においてジャーナリストは公正に報道している(ほぼ常に=+2、おおよそ=+1、あまりそうではない=−1、まったくそうではない=−2での平均値)(2017-2020年)
実のところ選挙におけるジャーナリストの公正さへの認識はどの国も厳しいようで、グラフの縦軸の最大値がプラス0.800に留まってしまっている。マイナスを示したのは6か国、ギリシャ、イギリス、アメリカ合衆国、ルーマニア、台湾、そしてウクライナ。色々な意味で納得をしてしまう顔ぶれではある。
プラスの値がもっとも大きい、つまり選挙ではジャーナリストは公正に報道をしているとの認識が強い国はスウェーデン、フィリピン、アゼルバイジャン、コロンビア、ドイツ、香港など。
日本はといえばプラス0.275。一応公正さを保っていると認識されている側ではあるが、その度合いはわずかなもの。なお「分からない」の値は20.0%で、今回取り上げた国の中では最大値を示しており、これが中途半端な値となる一因の可能性は否定しない。
選挙の集計は公正に行われなければ選挙そのものの意味は無くなるし、有権者にとっては貴重な情報源となるジャーナリストが公正な報道をしなければ、投票結果は有権者の本来の思惑とは異なるものとなってしまいかねない。実情として公正さの上で行動するのはもちろんだが、国民自身に公正であると認識されるような姿勢を示してほしいものではある。
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