クレーム・問い合わせ増加51.4%、賃料減額請求増加37.3%…新型コロナウイルス流行で生じた賃貸住宅管理会社の影響(最新)
2021/08/10 03:38
現在もなお多方面に影響を与えている新型コロナウイルスの流行。その影響は当然賃貸住宅業界にも生じている。賃貸住宅管理会社側には具体的にどのような状況が生じているのだろうか。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、その実情を確認していくことにする。
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各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】にて記載済み。そちらで確認してほしい。
初めに示すのは該当期間(2020年下期、2020年10月-2021年3月)において、新型コロナウイルスの流行で経営・業務にどのような影響が生じたか、あらかじめ用意されている選択肢で該当するものすべてに答えてもらったもの。
↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響(複数回答)(2020年下期)
もっとも多いのが「クレーム・問い合わせ増加」で51.4%。これは在宅勤務や外出自粛などで在宅時間が増えたことによる、騒音問題が顕著化したことや、賃貸住宅の設備などの不備に気が付きやすくなったことによるものと思われる。
次いで多いのは「賃料減額請求増加」で37.3%。これは新型コロナウイルスの流行により借主が経済的に困窮(会社の経営難、減給、解雇など)し、家賃の負担がきつい、さらには耐えられない状態となったためだと考えられる。「解約・退去増加」「滞納者増加」「保証会社の代位弁済増加」も原因は同じだろう。逆に「解約・退去減少」も22.2%とあるが、これは非常に増えた前期と比べれば少なくなったという解釈でよいと思われる。
「臨時業務増加」は実店舗での接客における感染防止策の実施、対人接触を避けるために電話や電子メールでの対応が増えることによる処理など、従来と比べて追加での人的リソースが求められることによるもの。これは何も賃貸住宅管理会社に限った話ではない。
これを地域別に区分して確認したのが次のグラフ。
↑ 新型コロナウイルス流行による経営・業務への影響(複数回答、地域別)(2020年下期)
「賃料減額請求増加」「クレーム・問い合わせ増加」など多数項目で関西圏が突出しているのが目にとまる。また「保証会社の代位弁済増加」「滞納者増加」「営繕・原状回復工事遅延」などは首都圏で際立って少ない結果が出ている。
これらの傾向について短観では
・在宅時間が増えたことにより、気づかなかった近隣関係問題、特に騒音によるクレームが増加。
・支払い可能賃料との兼ね合いからの解約、在宅勤務作業に対応した設備を求めての解約が増加。
・窓口対応の変化・メール対応業務増加など、従前の手法以上の対応が求められ臨時業務が増加。
・関西圏では「クレーム・問い合わせが増加」が約6割と高い。「営繕・原状回復工事の遅れ」も他エリアより高く、約3割。
などと解説している。具体的になぜそうなるのかまでの説明は無いが、それぞれの地域の賃貸住宅の特性や居住者の生活様式が影響しているものと考えられよう。
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