教育費の捻出方法は支出削減、本人のアルバイト、奨学金(最新)
2022/01/06 03:15
子供を高校や大学で学ばせるためには何かとお金がかかる。かさむ費用に対し、保護者はどのように対応しているのだろうか。その実情を日本政策金融公庫が2021年12月20日に発表した教育費に関する調査結果の内容から確認する(【教育費に関する調査結果一覧ページ】)。
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今調査の調査要項は先行記事の【新型コロナウイルスの流行で高卒以上の子供の進路にどのような影響が生じたか(最新)】を参照のこと。
はじめに示すのは子供の教育費の捻出のためにどのようなことをしているのかについて尋ねた結果。捻出している人でもっとも多かった方法は「教育費以外の支出削減」だった。28.6%の人が実施している。
↑ 教育費の捻出方法(3つまでの複数回答)(2021年)
具体的な削減内容は次の項目の話になるが、ともかく色々と他への費用を切り詰め、教育費に当てていることになる。次いで多いのは「在学者本人のアルバイト」で21.5%。要は子供自身のアルバイトで学費なり通学費をまかなってもらっているとのこと。さらに「奨学金」が19.2%。奨学金はすべての人が受けられるとは限らないが、制度として存在している以上、使わないのは損である。
そして「預貯金・保険の取り崩し」が18.8%と続く。これはもちろん保護者の預貯金や保険を意味する。他方、「労働時間の増加」「共働き開始」のように保護者に労働面での負荷を増やす選択をするケースもある。
一方で「特に何もしていない」、つまり以前からの家計のやりくりで十分教育費をまかなうことができ、改めて何らかのアクションによる捻出の必要はないとの人も34.6%いる。
「教育費以外の支出削減」、つまり節約をして教育費をねん出している人に、具体的な方法を尋ねた結果が次のグラフ。「旅行・レジャー費」がトップで62.2%との結果となった。子供の教育費の捻出のために節約をしている人の6割以上は、旅行やレジャーをあきらめたり、安いプランに切り替えていることになる。
↑ 節約している支出(教育費以外の支出を削減している人限定、3つまでの複数回答)(2021年)
節約話ではいつも矢面に立たされる「外食費」が「旅行・レジャー費」に続く形で59.8%。子供の教育費の捻出のために節約をしている人のほぼ6割は、外食を切り詰めていることになる。生活必需品ではないもの、娯楽の部類に大別できる類の費用がカットされる傾向が強いようだ。自分の楽しみを切り詰めて、子供の教育費に充てようという構図である。第3位の「衣類の購入費」も場合によっては生活必需品ではなく娯楽に該当するケースもあるだろう。
他方生活必需品の類に含まれる「食費(外食費以外)」を節約するとの意見も32.8%見られる。食材のグレードを落とす、安売り買いを徹底させるなどが考えられるが、当然食生活の質は落ちることになる。子供自身が自宅通いをしている場合、肩身の狭い思いをすることになるかもしれない。
一つ目のグラフにある「教育費以外の支出削減」の値28.6%を、二つめのグラフの値にかけることで、高校生以上の子供を持つ世帯全体に占める、教育費に充当させるために節約している項目別の比率が算出できる。例えば「旅行・レジャー費」なら28.6%×62.2%=17.8%となり、高校生以上の子供を持つ世帯の2割近くが、子供の教育費のために旅行やレジャーを切り詰めている計算となる。色々と見えてくるものがあるかもしれない。
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