日本の電話事情を多角的に時系列で検証(最新)

2024/02/17 02:45

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2024-0206国連の専門機関で無線通信や電気通信分野において、各国間の標準化と規制の確立を目的として設立運用されている国際電気通信連合(ITU: International Telecommunication Union)では、同公式サイト内の【データ項目ページ(Statistics)】にて、毎年加盟国の携帯電話やインターネットの普及率など、各種電気通信関連の統計データを更新・公開している。今回はその中から日本の電話事情に関する長期的なデータを見ていくことにする。

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まずは携帯電話の普及状況について。具体的には携帯電話の契約数(ポストペイド・プリペイドを問わず)と携帯電話の普及率の推移。携帯電話の普及率は単純に契約数を人口で割ったものなので、100%超えはありうるものとなっている。また結果論だが、人口に大きな変化はないことから、両者のグラフの動きは似たようなものとなってしまっている。

↑ 日本の携帯電話普及状況
↑ 日本の携帯電話普及状況

データそのものは1980年分から用意されているが、1980年代は携帯電話普及率は1%足らず。契約者数も100万件にすら届いていなかった。急速に増加を示し始めたのは1995年ぐらいから。2Gが導入され通信方式がデジタルに移行し、着メロ(着信メロディ)が使えるようになったあたりからといえるだろう。1999年にはiモードのサービスが始まり、2001年には3Gが導入され、普及の後押しをするようになる。

2009年ぐらいからは増加度合いがさらに急な形を見せるようになるが、これはスマートフォンの普及によるもの。2011年の東日本大震災も結果論ではあるが、非常時に役立つ存在として注目を集めたことで、携帯電話、特にスマートフォンの普及を大きく促進させる要素となっている。

直近となる2022年においては契約件数は2億1075万件、普及率は170.0%となっている。

次に固定電話の普及率。世帯ベースではなく個人ベースであることに注意してほしい。そして1世帯に固定電話を複数台契約する状況はあまり想定できず、100%到達は困難な実情を留意しなければならない。

↑ 日本の固定電話普及率
↑ 日本の固定電話普及率

1997年の52.2%をピークに漸減を示しているが、これは携帯電話関連の記事で繰り返し説明している通り、携帯電話の普及によるものと家族構成の変化、情報の価値の変化によるもの。一方で2008年を底に2009年で数字が大きく跳ねているが、これは2008年まではIP電話を除外しており、2009年からカウントしたことが原因。それ以降の動向として、少々持ち上がった後は50.0%内外の状態が続いているが、これは実質的には加入電話が減少する一方でIP電話の利用が増えていることを意味する(【IP電話が漸増するも全体では減少、今や71%がIP電話…固定電話の加入契約者数の移り変わり(最新)】)。合計件数も漸減しているが、人口も漸減しているため、ちょうどよい具合に普及率はほぼ横ばいを維持している次第である。



携帯電話の普及状況は今後も漸増を続けていくだろう。あるいはもうしばらくすれば横ばいに移行するかもしれないが、スマートフォンが生活必需品となりつつある昨今においては、しばらくはこの傾向が続くに違いない。

他方固定電話はその必要性を減じていることは否定できない。これは日本に限らず、携帯電話の普及とともに世界中で生じている現象である。今後も一定数は維持されるものの、多くは加入電話が減るとともにIP電話が取って代わり、さらにそう遠くないうちに携帯電話へシフトが進むことで普及率は漸減していくことだろう。


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