「入居者1回入れ替え」が最多…心理的瑕疵の影響期間(最新)
2020/02/12 05:21
賃貸住宅を探す時に重要なチェック項目として心理的瑕疵物件か否かとの問題がある。心理的瑕疵物件とは、住む人が心理的に嫌な思いをする可能性がある問題を抱えている物件を指す。ただし心理的瑕疵物件について公的なガイドラインや明確な判例はなく、個々の物件の特性や地域の環境など多様な条件の上で判断されることが多い。今回は賃貸住宅の管理会社で構成される協会「日本賃貸住宅管理協会」が半年ごとに同協会公式サイトにて発表している【賃貸住宅市場景況感調査(日管協短観)】を基に、賃貸住宅業者側が心理的瑕疵を告知しなければならないとする期間の判断の実情を確認していくことにする。
スポンサードリンク
各種調査要項などに関しては先行する記事【メディア別賃貸住宅業者への反応の変化】にて記載済み。そちらで確認してほしい。
次に示すのは当該物件において何らかの心理的瑕疵に該当すると判断される事案があった場合、いつまで重要事項説明(売買や賃貸契約の前に買い手・借り手側に行わねばならないと法的に定められている説明)においてそれを説明しなければならないと考えているかを答えてもらった結果。35.1%は「入居者1回入れ替え」と回答しているが、これは例えば当該物件で居住者が自殺をして心理的瑕疵に該当すると判断した場合、その後に一度借主が入居した上で退室すれば、次からは重要事項説明の際に心理的瑕疵を説明しないとするもの。つまり「この物件では前の前の居住者が自殺で亡くなっています」と重要事項説明では行わない。
↑ 心理的瑕疵物件における重要事項説明での告知期間(2019年上期)
1回ではなく2回入れ替えまでは説明の必要があるとの判断は14.9%、3回以上は3.0%と少数。入れ替え回数ではなく一定年数とするものは11.2%。何回入れ替えがあっても、何年経過しても半永久的に説明をするとの意見は14.9%。一方で認知度合いなどで変動するとの意見は9.7%。
地域別では首都圏は一定年数の意見がやや多いが、関西圏では2回入れ替えまでは説明するとの意見が35.7%と最多回答値となっている。他方、首都圏・関西圏以外では1回入れ替えが4割近くある一方で、半永久的とする意見が2割近くと高めの値なのが目に留まる。
自由記入欄での意見としては「内容次第で期間設定」「自殺は数回、他殺は半永久的」「原則1回、認知度などで変更」「弁護士に相談」などがある。また総論として地域ごとにばらつきがあり一概には言えないこと、10年以上が経過しても風評が消えず説明の必要性が生じるなどのケースを挙げている。インターネット上でこの類の情報の共有化が進む昨今では、状況次第で風評が固定化することもあり得よう。
■関連記事:
【賃貸住宅から出る時の敷金の問題とか「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」とか】
【現役夫婦世帯の持家率は78.3%、そのうちローン支払い中は39.6%…持家・賃貸住宅の割合】
【30代で住宅ローンの重荷が…二人以上世帯の貯蓄・負債・純貯蓄高(2015年)(最新)】
スポンサードリンク