「できる」と「出来る」、どちらがよいと思う?

2019/10/31 05:22

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2019-1030文化庁は2019年10月29日、平成30年度分の「国語に関する世論調査」の結果を発表した。今発表内容は概要ではあるが、日本の国語の理解や意識の現状を確認できる、興味深いデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、普段使っている言葉の表記に関して、公用文の表記の仕方とそれ以外の表記の仕方のどちらを選んでいるかを確認していく(【平成30年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。



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今調査は2019年2-3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は1960人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。

送り仮名の付け方など漢字の使い方について、官公庁などが示す文書や法令上の表記の仕方(公用文)と一般によく使われる使い方が異なる場合がある。例えば物事などが可能であることを示す言い回しについて、公用文に用いられる表記は「できる」だが、一般では「出来る」もよく使われる。

そのような異なる表記事例をいくつか用意し、公用文とそれ以外の表記でどちらの書き方がよいと思うかを尋ねた結果が次のグラフ。どちらが正しいかという話ではないこと、使われる場所を限定していないことに注意が必要。

↑ どちらの書き方がよいと思うか(公用文か否か)(2019年)
↑ どちらの書き方がよいと思うか(公用文か否か)(2019年)

この類の表記は多々存在するが、少なくとも今回提示されたものに関しては、大部分が公用文で使われる表記ではない方がよいと考える人が多いことが明らかになった。特に「田植/田植え」では、公用文の表記の方がよいと考える人は2割にも満たない。やはり官公庁の文書に触れる機会そのものが少ないことから、普段使うであろう表現の方をよいとする考えが多いようだ。

「踏切/踏み切り」は公用文が60.4%、それ以外が35.2%となり、今回提示された例では唯一公用文の方が多い結果となっている。それ以外はすべて公用文以外の方が多数派。普段文章を読み書きする上では多数見受けることになる「できる/出来る」「又は/または」も公用文は少数派。

報告書では調査の結果数字のみを挙げ、どちらが望ましいかの説明は一切無い(元々現状確認のための調査に過ぎない)。いずれを用いても問題視されることは無いはずだが、官公庁側から発信する文書では公用文表記の方が望ましいし、報告書や学校の試験などでは学校教示の表記の方がリスクは低いだろう。もちろん同一文書内ならば、どちらかの表記に統一すべきであることは言うまでもない。


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