妻から見た親との同居の実情(最新)
2024/06/18 02:21
経済的理由をはじめ、さまざまな事情で成人し、さらには結婚しても親と同じ住居に住み続ける人は少なくない。また、一度別居をしたものの、結婚や親の健康上の事情、住居環境の変化から、再び同居をする場合もある。結婚をしている人における、親との同居に関する実情を、国立社会保障・人口問題研究所が5年おきの定点観測調査の最新版として2022年に調査を実施し、2024年4月26日に報告書を発表した第7回分の結果から確認していくことにする(【発表リリース:全国家庭動向調査】)。
スポンサードリンク
妻の年齢とともに上昇する親との同居率
今調査の調査要項は先行記事の【夫婦別姓賛成派、夫がいる妻では賛成派6割強(最新)】を参考のこと。
次のグラフは妻の年齢階層別にみた、親との同居割合。複数の親と同居している場合もあるので、当然複数回答となる。また今件では妻の年齢が70歳未満に限定している。
↑ 妻の年齢階層別にみた親との同居率(複数回答)(2022年)
誰か一人でも親と同居している割合は、29歳以下の場合は7.9%だが、30代では9.3%。40代以降も年齢の積み増しとともに同居率は増加していく。当人が年を取れば当然親も同じだけ年を取るため、生活上の不安から同居した・同居を親に希望されたのかもしれない。また、介護のための同居の可能性もある。
親の具体的な立ち位置としては、妻の親よりも夫の親の方が同居率は高い傾向がある。家督の問題、居住している住居の持ち主の事情、夫婦間の立ち位置などが理由として考えられる。ただし29歳以下に限れば、妻の親の方が高い値となっているのは興味深い。
なお親の男女別では妻の親でも夫の親でも、おおよそが母親の方が同居率は高い。元々平均寿命は女性の方が長いため、単純に存命しているか否かの問題だと思われる。あるいは父親は同居を嫌う傾向があるのかもしれない。
同居していない親との距離は
それでは親と同居していない場合、どれぐらいの距離が離れているのだろうか。70歳未満の妻のうち、いずれの親とも同居していない人に限定し、その距離の実情を普段使う交通機関での時間で答えてもらったのが次のグラフ。父親と母親で別途答えてもらっているのは、父親と母親が別居している場合があるため。
↑ 別居する親との居住距離(普段使う交通機関での時間)
実のところ父親と母親での違いはさほどなく、ほとんど誤差の範囲。そして妻の親であるか夫の妻であるかによる差異もほとんどない。
あえて言えば、父親より母親の方がいくぶん近場にいるように解釈できる程度。敷地内別居に限ると、妻の親は3%台だが、夫の親は6%台に達している。何かあった時に対応できる利便性を考えると、親との距離感もまた、立場上夫の方が強いとの風潮によるものかもしれない。
■関連記事:
【一人暮らしの高齢者と子供の住む家との距離の関係を探る】
【「3世代同居の住宅政策」とあるけれどよく読むと......】
【増える核家族と単身世帯…種類別世帯数の推移(最新)】
【「近居」は進んでいるのか…高齢夫婦のみ世帯と子供の住む家との距離の関係を探る(2016年)(最新)】
【「近居」は浸透しているのか…「高齢者同士の夫婦世帯や単身高齢者世帯」と「子供世帯」との距離関係(2015年)(最新)】
スポンサードリンク