「政治的な思惑が異なる相手と話しても共通点を見出すのは難しい」アメリカ合衆国では63%が同意(最新)
2019/02/17 05:04
政治的思惑は宗教的な方向性があり、物理的・論理的事実を覆してでも信奉をしてしまうことも少なくない。異なる思惑を持つ者同士の会話は、新たな見地を得たり理解を深めたりする機会をもたらしてくれるが、言葉が通じるのに話が通じないという認識のような、反発やストレスを覚えさせ、自分自身の思惑への思いを(それが正しいか否かを問わず)より強固なものとしてしまうこともある。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月5日に発表した調査結果【More Now Say It’s ‘Stressful’ to Discuss Politics With People They Disagree With】を基に、同国内の政治的思惑の違いやイデオロギーによる対立構造の実情を、政治的思惑が異なる相手との会話をした際に、共通点を覚えるか否かという観点から確認していくことにする。
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今調査に関する調査要綱は先行記事【政治的に対立する意見を持つ人との政治的会話で感じることは、そのアメリカ合衆国事情(最新)】を参考のこと。
先行記事にある通り、今調査の結果によると、アメリカ合衆国内では現状において民主党支持者の方が共和党支持者よりも、政治面で同意できない意見を持つ人との間における政治的な会話において、ストレスを感じる人が多く、さらに民主党支持者の中でもリベラル的なイデオロギーを持つ人のストレス感は強い傾向がある。
↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、支持政党別・イデオロギー別)(2018年10月)(再録)
それでは政治面で同意できない意見を持つ人との間における政治的な会話をした際に、相手に政治的な共通点があるとの認識はどれぐらい持つことが多いだろうか。つまり政治面で理解し合える相手と認識できるか否かの実情である。
↑ 政治面で同意できない意見を持つ人との間で政治的な会話をした時に通常抱く感情(アメリカ合衆国、相手との間の政治的な共通点について、支持政党別・イデオロギー別)(2018年10月)
元々政治面で同意できない≒対立している考えを持つ人との会話なのだから、共通点を見出すのは難しいことは容易に想像ができるが、それでも何らかの同意できる点を見出して融和を模索し、建設的な会話をすることはできるはず。しかしながら実情では、思っていたよりも相手との間における政治的共通点は少なかったとの感想を抱く人が多いようだ。全体では63%の人が、思っていたより相手との間における政治的共通点が少ないと認識している。
報告書でも言及されているが、属性別における差異はほとんど生じていない。かろうじて民主党支持者のリベラル的なイデオロギーを持つ人の「政治的共通点が少ない」との認識の値が高い程度。この属性は上記グラフにある通り、政治面で同意できない意見を持つ人との間での政治的な会話で強いストレスを感じる結果が出ており、共通点が見出しにくいことが、ストレスにつながっている可能性がある。
もちろんそれぞれの属性の考え方が正しいか否かはまた別の話。ただ、この類の主張に関しては、誰もが皆、自分の考えが正しいと考えているのもまた事実。宗教間の対立のようなものであり、実情が確認できたところで、それを解消することは極めて難しい話ではある(解消する必要は無いのかもしれないが)。
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