老後の生活設計を考えたことが無く今後も考えない人は1割近く(最新)
2019/02/05 05:17
年を重ねるに連れて体力も精神力も衰え、若い時のような就業の継続は望めず、職から離れて第二の人生こと引退人生を歩むようになると、生活に必要となるお金を工面する方法を考える必要がある。公的年金以外に私的年金に加入しておいたり、蓄財をしたり、さらには年老いてもこなすことが可能な作業で利益を得られる財産を確保しておくなど、手立てはさまざま。そのような主に金銭面における老後の生活設計をしていない人はどれほどいるのだろうか。内閣府が2019年1月18日に発表した老後の生活設計と公的年金に関する世論調査の結果から確認していく(【発表リリース:老後の生活設計と公的年金に関する世論調査】)。
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今調査の調査要綱は先行記事の【何歳までお金をもらえる仕事をしたいか、平均年齢は62.9歳(最新)】を参照のこと。
先行記事で示した通り、老後の生活設計を考えたことがある人は調査対象母集団においては67.8%に達している。
↑ 老後の生活設計を考えたことがある人(2018年)(再録)
この設問で「老後の生活設計を考えたことが無い」とした人において、それでは何歳ぐらいになったら考えるのかと尋ね、「老後の生活設計は(今後も)考えない」と回答した人、つまりこれまでもこれからも老後の生活設計は考えるつもりが無いとする人の割合を計算したのが次のグラフ。なお、今件に該当する人でも、将来において何らかのきっかけから考えるようになることはありうる。
↑ 老後の生活設計を考えたことが無く今後も考えるつもりが無い人(2018年)
全体では9.8%。1割近くの人が「老後の生活設計は一生涯考えるつもりは無い」と考えている。年齢階層別では18-29歳を除けばおおよそ年が上になるほど該当者率が高まる結果が出ている。若い時は考えなくても別にかまわない、面倒だから、楽観的な考えの下での結論であっても、年とともに考えるような状況に迫られる、考えた方がよいという事案に遭遇するなどで、考えるように転じる可能性は多々あるため、むしろ逆に年が上になるに連れて該当者率は低くなるのが道理ではあるのだが、実際には逆。今の高齢層は蓄財や公的年金で十分だとする楽観的な思惑が強いのかもしれない。そしてそれが許されるような環境なのだろう。
職業別では農林漁業職で高めの値。衣食住のうち食、そして多分に住は確保されているであろう環境で、終生現役を貫く人も多々いるであろうから、細かいことは考えなくてもよいとの思惑の人がいるものと考えられる。
それでは今後も考えるつもりが無いか否かは別として、現状では老後の生活設計を考えたことが無い人に、なぜ考えたことが無いのかを択一回答で尋ねたのが次のグラフ。
↑ 老後の生活設計を考えたことが無い理由(択一回答、老後の生活設計を考えたことが無い人限定)(2018年)
最上位は「将来の話なので老後のことは分からない」とする意見で35.1%だった。何十年も先の話になるので今から考えても意味が無いだろうというあたりだろうか。これは若年層では特に仕方が無い話ではある。
次いで「老後の生活設計の立て方が分からない」「老後を迎えた時に考えるつもり」「老後の生活を考えると不安になる」がおおよそ同率で並ぶ。それぞれ「したいけど分からない」「その時が来たら考えよう」「考えるだけで怖いから考えたくない」と異なる方向性でこれまでは考えていなかったとのことで、老後の生活設計を考えることの難しさの問題点が見えてくる。
他方、「考えるのが面倒」という本人の資質の問題もあれば、「資産があるので考える必要が無い」といった羨ましい回答も少なからず見受けられる。
「将来の話なので老後のことは分からない」など本人の選択による理由はともかく、「老後の生活設計の立て方が分からない」「老後の生活を考えると不安になる」などは老後の生活設計をしたい思惑があるにもかかわらず、できない状況に置かれている。問題を解決して老後の生活設計ができるような環境づくりが求められよう。
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