「全面的」は26.3%…老後の生活では公的年金をどれほどあてにしているのか(最新)
2024/06/05 02:51
心身的に老化を来たし若い頃と同じような就業は不可能になる老後の生活においては、場合によっては低賃金の軽労働で補てんをしながら、基本的にはこれまでの蓄財や公的年金で生活費をまかなうことになる。そのような老後の生活において、公的年金はどれほどあてにされているのだろうか。内閣府が2024年3月15日に発表した生活設計と公的年金に関する世論調査の結果から確認していく(【発表リリース:生活設計と公的年金に関する世論調査】)。
スポンサードリンク
今調査の調査要綱は先行記事の【何歳までお金をもらえる仕事をしたいか、平均年齢は64.4歳(最新)】を参照のこと。
老後の生活設計をする中で、公的年金はどのような位置づけなのだろうか。いくつか選択肢を挙げ、回答者自身の考えにもっとも近いものを選んでもらった結果が次のグラフ。
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、老後の生活設計を考えた人限定、男女別)(2023年)
もっとも多い考え方は「公的年金を中心とし、個人年金や貯蓄などを組み合わせる」で53.8%、次いで「全面的に公的年金に頼る」が26.3%、「公的年金にはなるべく頼らず、できるだけ個人年金や貯蓄などを中心に考える」が11.7%。個々のお財布事情や人生設計などにより内情はさまざまだが、全体では2割ほどの人が公的年金には頼るだけの実情が備わっていないとの認識と見てよいだろう。
男女別では女性の方が公的年金への信頼度が高いように見える。「全面的」「中心」を合わせると、公的年金をそれなり以上に頼りにしている人は男性で77.6%だが女性では82.4%となっている。
さらに年齢階層別に区切り直したのが次のグラフ。
↑ 老後の生活設計の中での公的年金の位置づけ(択一回答、男女別・年齢階層別)(2023年)
全体としては女性の方が公的年金への信頼度が高いのだが、年齢階層別に見ても全年齢階層で男性より女性の方が高い結果が出ている。また、年上になるに連れて公的年金への信頼度が高まる感はある。具体的には、おおよそ高年齢ほど「全面的に公的年金に頼る」の値が増えていく。
ただし「高年齢ほど公的年金に頼る」傾向は、公的年金への信頼が高いからなのか、額としては満足のいかないものでも頼らざるを得ない実情を示しているのか、あるいは甘い見積もりで判断している(していた)のか、その内情までは分からない。ともあれ70歳以上の4割台は、老後の生活設計において「全面的に公的年金に頼る」と考えていたことに違いはない。
■関連記事:
【年金生活をしているお年寄り世帯のお金のやりくり(家計調査報告(家計収支編))(最新)】
【足りるか、何とかなるか、足りないか…年金に対する考え方(最新)】
【団塊世代男性の年金受給者8割近く・個人年金は1/4、「まだ働いてる」は約6割】
【老後の主な収入源、公的年金がトップなのはどこの国も同じ(最新)】
スポンサードリンク