「今後50年間でロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わる」9割近くは同意
2018/12/16 05:17
技術は人の苦労を軽減し、あるいは代替するために生み出され普及していく。昨今ではロボットやコンピューターの技術がその代表格で、さまざまな作業の手間を軽減し、人の代わりをしてくれるようになっている。それでは未来になるとどこまでこれらの新しい技術が、人にとって代わるようになると思われているのか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerの調査【Despite Rising Economic Confidence, Japanese See Best Days Behind Them and Say Children Face a Bleak Future】を基に、日本における実情を確認していくことにする。
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今調査の調査要綱は先行記事【経済状態、現状への満足感、子供が成長する頃の経済状態…3つの視点から日本の実情認識】を参照のこと。
最初に示すのは、今後50年間でロボットやコンピューター(などの新技術)が、現在は人間のしている作業の大部分を取って代わると思うか否か。具体的にどのような方面の作業などの説明は無い。
↑ 今後50年間でロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わると思う(2018年)
間違い無くそうなると断じている人は28%、多分そうなると考えている人は61%。合わせて89%の人が肯定的な意見を持っている。否定的な人は多分・絶対合わせても1割にも満たない。具体的にどの分野でどの程度代替されるかは回答者一人一人のイメージで違ってくることになるが、50年も経てば現行の人間の作業はその多くがロボットやコンピューターが代わりに行っている世の中になっているだろうとの考えが、圧倒的多数であるようだ。
報告書ではこの値に関して、同様の調査をしたアメリカ合衆国の65%よりも高く、全部で9か国を対象にしているがその中でもっとも高い値であることを記している。また、年齢階層別では18-29歳における「間違い無くそうなる」の回答率は50歳以上の約3倍にあたると言及している。若年層の方がロボットやコンピューターによる世の中の大規模な変化への期待は大きいようだ。
それではロボットやコンピューターの代替化により、世の中はどのような変化を示すと考えられているのか。4つの項目について尋ねた結果が次のグラフ。
↑ ロボットやコンピューターが人間のしている作業の大部分を取って代わった場合、日本に次のようなことが起きると思うか(2018年)
貧富の差が拡大するとの認識は83%、普通の人は職探しに苦労すると思う人は74%と、ロボットやコンピューターを誰が所有し利用するのか、その結果として作業がどれだけ人の手から離れるのかを考えた上で、一般の人にとってはマイナスと判断できる結果が生じると考えている人は多数となっている。他方、経済が効率化するとの考えも74%と多数の人が同意しているが、これは国全体、産業全体での話であり、一般の人にまでその効用が波及するか否かは別。むしろ経済の効率化は往々にして、効率化する以前は作業に従事していた人の職を奪うことになる。
ロボットやコンピューターが現在人が手掛けていた作業を奪うことになるが、代わりに一層よい稼ぎが期待できる、新しい仕事が登場し、その剰余人員をカバーすることになるだろうとの考えを持つ人は35%。産業構造の変化に伴う労働市場の縮小問題は、新たな仕事(産業)の登場でまかなえるだろうとの期待を持つ人は少数派でしかないようだ。
報告書では一部の属性別動向について言及している。例えば「より高給な新しい仕事が登場すると考えている18-29歳の回答率は52%だが、50歳以上は31%でしかない。また学歴が低いほど否定する回答率が高くなる」とのことである。
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