20代の「離れ」自覚と「お金をかけたい」対象の実情(最新)
2018/12/07 05:11
昨今では半ば以上陳腐化したフレーズとして認識されている「若者の●×離れ」。実際に若年層がその対象を忌避している、利用を避けている実情があったとしても、その原因は若年層の責にあるのではなく、単に需要の変化や社会の実情を捉えていない提供側にあるのが常。そして需要を上手く捉えられない責を、若年層に押し付けるための使い勝手のよいフレーズとされている感は否めない。それでは若年層自身はそのフレーズについて、実際にどのような対象を自覚しているのだろうか。SMBCコンシューマーファイナンスが2018年12月4日に発表した調査結果から、その実情を確認していく(【発表リリース:20代の金銭感覚についての意識調査2018】)。
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今調査は2018年10月2日から3日にかけて、携帯電話を用いたインターネット経由で20代男女に対して行われたもので、有効回答数は1000件。男女・20代前半と後半の区切りで均等割り当て。未婚者756人、既婚者244人。調査協力機関はネットエイジア。
次に示すのは、回答者自身が日頃から「●×離れ」していると感じるもの。世間一般の認識やよく見聞きするものでは無く、あくまでも現時点における本人の自覚によるものであることに注意。
↑ 日頃から自分自身が「●×離れ」していると感じるもの(複数回答、上位陣)(2018年)
もっとも多くの人が同意を示したのは「固定電話」。55.9%の人が同意を示している。デスクワークをしている人なら固定電話の利用機会は多々あるはずだが、それでも自分の日常生活においては積極的に使っていない、以前と比べて距離を置いているとの認識を持つ人がこれだけいる。
「ゴルフ」「合コン」「スキー」「職場の飲み会」など、昔ならば他人とのコミュニケーションを取る上での社会人のたしなみ、生活様式として欠かせない存在的なポジションにあったものがずらりと並んでいる。また、「新聞・雑誌」「CD」「自動車」「お酒」のような、個人のプライベートの上で必須と思われていたものからも、距離感を覚えている人が多い。
他方、自分が気に入ったものや必要性があれば、積極的にお金をかけたい、つまり距離を縮めていきたいと感じるものは次の通り。
↑ 自分の好みに合うものや必要性があれば、積極的にお金をかけたいと感じるもの(複数回答、上位陣)(2018年)
もっとも多くの人の同意を得られたのは「旅行」で45.0%。次いで「友人との飲み会」「自動車」「マイホーム」「映画」「パソコン」などが続く。若年層らしい趣味の対象も多いが、よく見直すと最初の「離れている、距離を置いている」ものと同じようなものが複数並んでいるのが分かる。
例えば「自動車」「ブランド」「CD」「お酒」はそのまま同じ。「友人との飲み会」も対象こそ違えど「職場の飲み会」とは飲み会との観点で一致する。つまりこれらの項目に関しては、若年層は現状の実情に問題があるので距離を置いているだけであり、自分達の需要にマッチした商品やサービスが提供されれば、積極的にお金を支払いたいと認識していることになる。
報告書ではこの傾向について自動車を例に挙げ、「若者がクルマから離れているのではなく、若者が欲しいクルマがないことが、若者の“クルマ離れ”の原因なのではないでしょうか」とまとめている。関係業界には耳の痛い話には違いない。
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