西欧では若年層の方が盛んにソーシャルメディアでニュースを確認する

2018/11/28 05:14

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2018-1119ソーシャルメディアは個人が気軽に不特定多数に向けて情報発信ができる、情報革命を引き起こしたツールであるとの表現に対し、誰も否定することはできない。個人はもとよりこれまで独占的な立場で多数に向けた情報公知を行っていた法人格を持つニュースメディアもまた、ソーシャルメディアを用いてニュースを配信している。まさにソーシャルメディアは情報を人々に行きわたらせるインフラに他ならない存在に違いない。それでは人々はソーシャルメディアを用い、どれほどの頻度でニュースを取得しているのだろうか。西欧諸国における年齢階層別の実情について、アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年5月14日に発表した調査【「In Western Europe, Public Attitudes Toward News Media More Divided by Populist Views Than Left-Right Ideology」】の報告書を基に確認していく。



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今調査の調査要綱は先行記事【西ヨーロッパ諸国でニュースの情報源としてもっとも使われているのはテレビ、デンマークやスウェーデンではオンラインが最多】を参照のこと。その記事にある通り、該当諸国では差こそあれど、少なからぬ人が毎日1度以上の高頻度で、ニュースの情報源としてインターネットを利用している。

↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体は(複数回答)(2017年10-12月)(再録)
↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上利用する媒体は(複数回答)(2017年10-12月)(再録)

それではその高頻度での利用者の割合は年齢階層別で違いがあるのだろうか。その実情をソーシャルメディアに絞って確認した結果が次のグラフ。インターネット利用者やソーシャルメディア利用者に限った上での割合では無く、該当する年齢階層全体に占める割合であることに注意。なおグラフの国順は、18‐29歳と50歳以上との差異が大きい順となっている。いわゆるジェネレーションギャップというものだ。

↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上ソーシャルメディアを利用する(年齢階層別)(2017年10-12月)
↑ 少なくともニュースの情報源として毎日1度以上ソーシャルメディアを利用する(年齢階層別)(2017年10-12月)

いずれの国も一様に、若年層ほど多くの割合でソーシャルメディアを使って高頻度にニュースを取得し、高齢層ほど割合は少なくなる。高齢層はニュースに関心が薄いというばかりでは無く、元々高齢層の方がソーシャルメディアを使わない率も高いため、それも影響しているのだろう。デンマークでは75%、イタリアでも74%の18-29歳層が毎日1度以上はソーシャルメディアを使ってニュースを取得している。ほぼ4人に3人となると、極めて高い割合となる。しかしそれぞれの国の50歳以上では28%、41%でしかない。もっとも両国とも50歳以上においても他国と比べると高い水準、特にイタリアは調査対象国では最大値を示しているのだが。

フランスはインターネット経由でのニュース取得の割合こそ低めに出ていたが、18-29歳層では高い値を計上している。しかし30-49歳では38%でしかなく、50歳以上になると17%に留まっている。30歳以上の層の低さが、全体値としての(インターネット経由そのものにおける)値を低く抑えてしまっているのかもしれない。

ドイツは18-29歳層でも50%に留まり、50歳以上では11%。すべての年齢階層において、調査対象国で最少値を計上している。ドイツはニュースそのものへの関心が低いのではなく、テレビやラジオ、紙媒体のような他メディアでの取得が盛んで、ソーシャルメディアをはじめとしたインターネットによるニュースの取得には及び腰なのだろう。

もっとも差が小さいオランダでも、18-29歳と50歳以上の間には31%ポイントもの差が生じている。他のメディアでもニュースは取得できる、さらにはニュースそのものを必要としない人もいるだろうが、スピード感や詳細の度合いなどの観点で他のメディアには追随が難しいインターネット、中でも情報取得において優位性を持つソーシャルメディアでのニュースの高頻度取得者率にこれほどの差が生じていると、年齢階層間における情報の取得度合い、理解度の観点で、大きな差が生じそうではある。

そしてこれは西欧の例ではあるが、他国でも似たような状況であろうことは容易に想像できよう。


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