YouTubeの「おすすめ動画」は意味があるのか否か
2018/11/25 05:14
インターネット回線の高速化と動画再生技術の向上、そして高性能なスマートフォンの普及に伴い、動画共有サイト、特にYouTubeは社会に深く浸透し、さまざまな観点で欠かせない存在となりつつある。そのYouTubeにおけるインターフェイスの一つ、動画再生中に横側に表示される「おすすめ動画」「次の動画」のような関連動画はどれほどの人が利用しているのだろうか。アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2018年11月7日に発表した調査【Many Turn to YouTube for Children’s Content, News, How-To Lessons】の報告書から、同国の実情を確認していく。
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今調査はPew Reserch Centerによる調査パネルATP(American Trends Panel)によって行われたもので、調査実施期間は2018年5月29日から6月11日。有効回答数は4594人。ATPはRDDで抽出された固定電話と携帯電話番号への通話で18歳以上のアメリカ合衆国居住者に対して応募が行われたもので、国勢調査の結果でウェイトバックが実施されている。
表示項目名が変わることがしばしばあるが、YouTubeでは動画再生中に画面の横側に「おすすめ動画」的なものが表示される。現状では「次の動画」と表示されているが、基本的に現在再生している動画と内容的に関連性が深いもので、再生数の高さや投稿アカウントの人気のある無しで選択が行われるようだ。通販サイトで表示される「この商品を見た人はこのような商品を購入しています」「この商品を購入した人が一緒によく購入するのはこのような商品です」と似たようなもの。アクセス動向を統計化し、その結果を基に分析した上で選択表示させるため、利用者の需要にマッチしたものが出やすく、連鎖的な観賞を引き起こしやすい。
↑ 現時点では「次の動画」。関連度合いが高い動画がリストアップされるようだ
この「おすすめ動画」を選択して観るか否かを尋ねた結果が次のグラフ。全体では15%が「よく観る」と回答している。
↑ YouTubeで最初に観た動画の横などに表示される「おすすめの動画」を選択して観るか(アメリカ合衆国、YouTube利用者限定、年齢階層別)(2018年5-6月)
「よく観る」「時々観る」を合算した、頻度はともかく観る人の割合は8割を超える。暇つぶし用として、あるいは調べものをする際にYouTubeを使う場合、この「おすすめの動画」は非常に有効なことは容易に理解できる。前者は自分が好んで再生した動画に傾向が近い動画が、後者は調べている内容と関連性の高い動画が一覧として表示される可能性が高いからだ。その観点では、YouTubeの利用目的別の数字が知りたいところだが、残念ながら今報告書ではその値は掲載されていない。
年齢階層別ではきれいな形で若年層ほど選択して観る人が多い結果が出ている。18-29歳では22%もの人が「おすすめの動画をよく観る」としているが、65歳以上では10%しかいない。若年層ほど利用目的が暇つぶしや調べものなのかもしれないが、他にも「若年層ほど短時間の動画を好むために、テレビのチャンネルを変える感覚で気軽におすすめの動画を観る」「若年層の方が長時間YouTubeを利用する傾向があるため、色々な動画を渡り歩くためにおすすめの動画を利用する」などの可能性も考えられる。あるいは関連する情報への好奇心が旺盛なのかもしれない。
ともあれ、若年層ほど気軽に「おすすめの動画」を利用して動画を次々に観賞していく傾向があることに間違いは無さそうだ。
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