「正に」と「まさに」、どちらがよいと思う?
2018/10/03 05:13
文化庁は2018年9月25日、平成29年度分の「国語に関する世論調査」の結果を発表した。今発表内容は概要ではあるが、日本の国語の理解や意識の現状を確認できる、興味深いデータが多数盛り込まれている。今回はその中から、普段使っている言葉の表記に関して、公用文の表記の仕方と学校で教わる表記の仕方のどちらを選んでいるかを確認していく(【平成29年度「国語に関する世論調査」の結果について】)。
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今調査は2018年3月に全国16歳以上の男女に対して個別面接調査方式で行われたもので、有効回答数は2022人。調査対象の抽出方式や属性別構成比は非公開。
送り仮名の付け方など漢字の使い方について、学校で教わる表記の仕方と、官公庁などが示す文書や法令の表記の仕方が異なる場合がある。例えば何らかの事柄を行うために必要な手法、手順について、公用文に用いられる表記は「手続」だが、学校で教わる表記は「手続き」。
そのような異なる表記事例をいくつか用意し、公用文と学校教示によるものとどちらの書き方がよいと思うかを尋ねた結果が次のグラフ。どちらが正しいかという話では無いことに注意が必要。
↑ どちらの書き方がよいと思うか(公用文/学校教示)(2018年)
この類の表記は多々存在するが、少なくとも今回提示されたものに関しては、大部分が学校で教わった表記の方がよいと考える人が多数に及んでいることが明らかになった。特に「若しくは/もしくは」「手続/手続き」「取組/取り組み」では、公用文の表記をよいと思う人は1割台でしかない。やはり官公庁の文書に触れる機会そのものが少ないことから、普段使う表現の方をよいとする考えが多いようだ。
「御案内/ご案内」は公用文が35.5%、学校教示は53.9%と多少多めだが、公用文による表記が少数派には変わりない。公用文表記が優勢なのは「打合せ/打ち合わせ」と「売上高/売り上げ高」の2つのみ。特に「売上高/売り上げ高」は公用文表記が73.3%と圧倒的な値を計上している。
報告書では調査の結果数字のみを挙げ、どちらが望ましいかの説明は一切無い(元々現状確認のための調査に過ぎない)。いずれを用いても問題視されることは無いはずだが、官公庁側から発信する文書では公用文表記の方が望ましいし、学校の試験などでは学校教示の表記の方がリスクは低いだろう。もちろん同一文書内ならば、どちらかの表記に統一すべきであることは言うまでもない。
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