インターネットでの知り合いはどの程度信頼できるのか、その国際比較(最新)
2018/09/06 04:54
インターネットは情報のやり取りをほぼ瞬時に、距離を問わずに行うことができる画期的なツールであり、その仕組みによって意思疎通のハードルは大きく下げられることになった。しかし実際に対面してのやり取りと比べると、得られる情報が限定されるために、やり取りをしている相手をどこまで信頼してよいのか判断がし難いのは否定できない。今回は総務省が2018年7月3日に公開した2018年版となる最新の【情報通信白書】にて行われている独自の調査の結果を基に、日本も含めた主要国における、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)やそれ以外のインターネットのツールで知り合う相手に、どこまでの信頼をおいているのか、その国際比較の実情を確認していくことにする。
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該当調査は「ICTによるインクルージョンの実現に関する調査研究」。調査要綱は先行記事の【日本や諸国のソーシャルメディア利用実情】を参照のこと。
まず最初に示すのは、SNSで知り合う人達への信頼度合い。特に説明は無いが、現実で知り合っている対象では無く、SNSでのみやり取りをしている人に対し、どれほどの信頼をおいているか、その一般論的な印象を語ってもらっていると解釈してよいだろう。
↑ SNSで知り合う人達のほとんどは信頼できる(国別)(2018年)
「SNSで知り合う人達のほとんどは信頼できる」との命題に対し肯定派(「そう思う」「ややそう思う」)は日本では12.9%に留まっているのに対し、アメリカ合衆国とイギリスでは過半数、ドイツでも5割近くを示してる。日本は他国と比べてSNS上のみでのやりとりの対象に、猜疑心が強いようだ。西洋・東洋的な文化の違いによる可能性もあるが、今調査では東洋に該当する国が日本のみであり、検証ができないのは残念なところ。
白書ではこの傾向について単に「日本は欧米と比較して、他者に対する信頼度が低かった」とのみ言及しており、この項目のみでの具体的な分析は無い。
ではSNSと比べると意思疎通のハードルがいくぶん高くなる、SNS以外のインターネット上のやりとりではどのような状況なのだろうか。
↑ SNS以外のインターネットで知り合う人達のほとんどは信頼できる(国別)(2018年)
多少の違いは生じているが、アメリカ合衆国とイギリスで肯定派が多く、ドイツもそれなりに高く、日本は低いという構図は変わらない。日本では一般論として、インターネット全般において、知り合う人のほとんどが信頼できるとは考えていないようだ。
日本ではインターネット上で知り合う人達への信頼度合いが他国よりも低い。それではその信頼できるとの判断において、自分の能力にどれほどの自信があるのだろうか。
↑ インターネット上で知り合う人達について、信頼できる人と信頼できない人を見分ける自信がある(国別)(2018年)
実のところ判断能力そのものについても、日本は他国と比べて自信が無く、結果として肯定派の値が低いものとなってしまっている。インターネット上での知り合いか信頼できるか否かに関して見分ける能力に自信が無いからこそ、インターネット上の知り合いが信頼できるとは限らないという判断に落ち着いているのかもしれない。「分からないからとりあえず信頼せずに疑っておいた方が安全」という次第である。
ちなみに今調査項目ではオフライン、つまり現実でのやり取りに関しても同様の設問が用意されている。
↑ ほとんどの人は信頼できる(オフラインで、国別)(2018年)
アメリカ合衆国がやや低めに出ているのが意外だが、大よそアメリカ合衆国・ドイツ・イギリスは高く、日本は低め。特に強い肯定の「そう思う」の差異が非常に大きなものとなっている。日本はインターネット上でのやり取りに限った話では無く、元々対人関係において慎重な姿勢を示す傾向があり、それがインターネット上でもそのまま反映されたまでに過ぎないのかもしれない。
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