バイオエタノール(バイオガソリン、バイオ燃料)関連記事:まとめ

2009/02/12 11:35

このエントリーをはてなブックマークに追加
さとうきびやとうもろこしなどの植物、さらには廃材やわらくずなどの植物資源からグルコースなどを発酵させて作ったエタノールのことをバイオエタノール(バイオマスエタノール、Bioethanol)と呼んでいる。石油などの液化化石燃料の代替燃料として現在注目を集めている燃料。日本国内では通常燃料に3%までなら混ぜても自動車の運行に問題はないとする結論が出て、有効利用が叫ばれている。

バイオエタノールが注目されている最大の理由は、燃焼による二酸化炭素が一般エタノールと違い「排出量としてカウントされない」点、つまりは環境への負荷が低いことにある。そもそも原材料となる植物の成長過程において、光合成で吸収した大気中の二酸化炭素の方が多いので、再びバイオエタノールが燃焼して大気中に放出されても、大気中の二酸化炭素の総量は変化しないとの考えによるもの。

昨今の原油高によって、相対的にバイオエタノールによる燃料のコストパフォーマンスが高まったのも、ここ数年間(2007年現在)に急速に今件に関する注目が高まった理由の一つ。皮肉にも、燃料の高騰が他の燃料の研究開発を急速に推し進めた次第だ。

日本においては地政学的メリットも注目の理由。国土が小さく化石燃料に乏しい日本では、埋蔵に偏りがある化石燃料よりも、栽培条件を考慮すればどこででも「生産」可能な植物による液化燃料の方が、安定的な確保が期待できる。国家戦略的にもプラスである。廃材やわらくずを使った場合には「従来捨てられていた廃資源を有効活用する」という点でもプラスとなる。燃焼時の大気汚染の割合も小さいといわれている。

一方問題点も多い。そもそも「食べ物として食べられるものを、燃料に替えていいものなのか」というやや倫理観も含まれた問題に始まり、「生産コストが高い地域ではいくら代替できるとしても、1リットル分の燃料を作るのに2リットル分の燃料を消費してしまうのでは意味が無い」という燃料エネルギー収支の問題など、解決すべき問題は多い。

現在この関連技術がもっとも進み、浸透しているのはブラジルである。その地理的条件(さとうきびの大生産国)を活かし、生産が容易で加工もしやすく、バイオエタノール以外に砂糖や電力、熱源までも生み出すという一石二鳥どころか一石多鳥な展開に成功している数少ない国である。

最近では一部余剰食糧やワインが生じているヨーロッパでも、大規模な生産体制に移行しつつある。またアメリカでも同様の動きが見られるが、燃料エネルギー収支の点で厳しい状態が続く。



スポンサードリンク


当サイトでも最新情報やまとめ記事など、バイオエタノールについての情報をピックアップして掲載しているが、ここでいくつかのカテゴリーに分けて既存記事をまとめてみることにした。各記事はそれぞれ執筆時の情報であり、閲覧時には事実と異なる場合もあるが、参考資料として読み解いて欲しい。

何らかのお役に立てれば幸いである。

まとめ記事


【飼料価格の値上がりをグラフ化してみる(2008/6/22)】
【とうもろこし価格の高騰理由を考えてみる(2008/6/16)】
【とうもろこしの生産・消費動向をグラフ化してみる(2008/6/13)】
【バターの生産量をグラフ化してみる(2008/6/6)】
【産油国が「石油輸入国」になる日(2007/12/11)】
【ガソリン代が気になる時の燃費アップに関する3ポイント(2007/9/11)】
【資源やエネルギーの観点からエコセクターな銘柄を集めてみる(2007/7/21)】
【「雑草からバイオエタノール、ならアレも!?」……読者から投げられた「これってどうよ」とは?(2007/5/8)】
【再生紙にバイオエタノールに割りばしに……本当の「地球に優しい」を考える(2007/5/2)】
【ジュースの値上げ、非遺伝子組み換え食品の調達難-バイオエタノールの功罪(2007/4/26)】
【バイオマス燃料と二つの方式・政府VS石油業界の対立構造と現状をまとめてみる(2007/1/29)】
【原油高で注目される「バイオタノール」とは(2006/7/9)】

原材料と相場


【10月に再び30%値上げも!? 小麦売り渡し価格引き上げ示唆(2008/6/18)】
【夜に強い「うなぎパイ」も国産バター不足と資源高騰には勝てじ(2008/5/31)】
【小麦価格4月から30%引き上げ・農林水産省発表(2008/2/16)】
【小麦の政府売り渡し価格、約30%値上げか・日経報じる(2008/1/14)】
【来年春先小麦が再度大幅値上げ!?(2007/12/20)】
【「物価は上がる」初の7割超え(2007/11/14)】
【値上げされても相変わらず人気が高いカップめん。実は値上げ額も横並び(2007/11/4)】
【日本製粉も業務用小麦を値上げ、11月1日から(2007/9/26)】
【小池さんも大打撃!? 「チャルメラ」「一平ちゃん」も冷凍エビ食品も値上げへ(2007/9/26)】
【業務用小麦粉値上げへ・パンやラーメン価格にも影響か(2007/9/22)】
【ヒデキもびっくり、原材料高騰でバーモントカレーやサッポロ一番も値上げへ(2007/9/20)】
【リコーがコピー用紙など最大25%値上げへ(2007/9/11)】
【日清食品が即席めんを17年ぶりに値上げ・小麦粉など原材料高騰から(2007/9/6)】
【パンやうどんなどの値上げも?-輸入小麦の政府卸売価格、10月から10%引き上げ(2007/8/26)】
【ニチレイフーズ、商品価格を10月から一部で10-15%値上げへ(2007/8/17)】
【カレーもバイオエタノールの影響・CoCo壱番屋でカレー値上げ(2007/8/16)】
【「物価が上がり景気が悪くなる」回答者が増加中(2007/7/20)】
【味の素もマヨネーズを値上げ・17年ぶり(2007/5/30)】
【フルーツジュースの「トロピカーナ」もバイオエタノールの影響で値上げ断行(2007/5/10)】
【キユーピー、17年ぶりにマヨネーズ値上げ・バイオエタノール普及の影響(2007/5/9)】
【アメリカでのとうもろこしの作付け面積、1944年以来の最高水準に・日本の面積とほぼ同じ(2007/3/31)】
【「燃料>食品」なとうもろこし事情(2007/3/5)】
【エタノールの需要急増でとうもろこしなど穀物のニーズ高まり価格高騰へ(2007/1/8)】
【穀物価格急騰中……気象災害多発や各方面でのニーズ増加(2006/12/13)】

海外動向


【原油高騰対応策・アメリカ人の3割は「●●●の開発」(2008/6/16)】
【ガソリン高騰で苦境におちいるアメリカの地方社会(2008/6/12)】
【小麦不足でアメリカの在庫量60年来の低水準・国際小麦価格は急騰へ(2008/2/10)】
【穀物価格急騰でアメリカ農家の収入は過去最高に(2007/12/24)】
【「安くても実はコスト高!?」 アメリカのバイオガソリン事情(2007/12/17)】
【バイオエタノールへの「疑問符・急加速へのブレーキ」と反論(2007/10/28)】
【麦類合計で年平均の42%減・オーストラリア、干ばつの影響で小麦などの生産量を再び下方修正(2007/11/3)】
【オーストラリアの干ばつ続く、農業が危機的状況に(2007/10/16)】
【EUで過剰生産のワインをバイオエタノールに転用、その量6856万リットル(2007/1/6)】

研究・レポート


【ガソリン、パン、チーズ・バター、インスタントラーメン……最近値段が高くなったと感じる商品ランキング(2008/6/20)】
【食品価格の上昇はいつ止まる? 専門家曰く「しばらくはムリ」(2008/6/8)】
【買い替え2割、使用制限6割……ガソリン価格高騰が続いた場合の選択肢(2008/6/7)】
【ガソリン・灯油・パン・めん類……「物価高騰」実感9割にも(2008/2/29)】
【9割以上が「食品値上げで生活がきびしい!」(2008/2/22)】
【原油価格の今後「下は40ドル上は150ドル」複雑に絡む要素が予想を困難に(2008/1/5)】
【「関東以南でリンゴが採れない」「日本近海でサンマ収穫が出来ない」地球温暖化の影響を予想(2007/12/25)】
【相次ぐ食料品の値上げ、理由を知っているのは7割・「仕方ない」けど「企業努力」も(2007/11/1)】
【「物価上昇を実感」約8割、節約による家計防衛は過半数へ(2007/9/15)】
【失われた遺伝子を加えて植物の光合成アップ・日大が遺伝子組換で成功(2007/7/10)】
【今度は「ガス」でバイオなものを活用する動きへ・「バイオガス」活用の動き高まる(2007/5/8)】
【携帯電話の電池問題の解決策となるか? 米大学教授らが「砂糖電池」こと「生体燃料電池」開発に成功(2007/4/1)】
【地球に優しい鉄道利用!?飛行機や乗用車の1割を鉄道に変えれば1232万トンもの二酸化炭素を削減(2006/8/20)】
【とうもろこし原料のバイオエタノールは利点が少ない? アメリカの大学が分析(2006/7/17)】

日本政府部内の動き


【7年間で39%から45%へ・食料自給率向上計画(2008/5/17)】
【アオサで10%、ホテイアオイで16%……海藻類からのバイオエタノール生産収量を初確認(2008/3/27)】
【水産庁が海藻からバイオエタノール製造技術を研究開発・5年間で技術確立へ(2008/1/15)】
【目指すはリッター40円! 「バイオ燃料技術革新協議会」初会合開催(2007/11/27)】
【「バイオ燃料技術革新協議会」初会合開催正式発表(2007/11/20)】
【経済産業省と農水省、民間16社が共同で「バイオ燃料技術革新協議会」を発足、バイオ燃料開発促進へ(2007/11/18)】
【E3型バイオガソリンが来月から政府公用車にも・新宿御苑給油設備の改修工事進む(2007/10/22)】
【政府主導型バイオガソリン「E3」市場販売開始(2007/10/13)】
【パーム油をバイオ燃料に転換、政府もマレーシアに技術の面から協力(2007/8/18)】
【年間3.1万キロリットルを生産へ・農水省、バイオ燃料の生産拡大に向けて3事業計画を採択・支援(2007/6/2)】
【経済産業省、バッテリー・水素燃料電池・ディーゼル・バイオ燃料の4本柱で次世代自動車を促進(2007/5/29)】
【バイオエタノールの需要急増で食料不足懸念高まる・政府も再確認(2007/5/28)】
【政府主導版バイオ燃料E3、8月から発売へ(2007/4/14)】
【経済産業省、3R政策普及のために「ごみイラスト」を無料配布(2007/4/26)】
【「農水省は本気だ」「いや、やる気だ」・農水省、バイオ燃料拡大に関する工程表提出(2007/2/28)】
【「バイオエタノールをガソリンの1割に」政府新目標設定(2006/11/2)】
【農林水産省、バイオ燃料の推進関連予算として106億円要求(2006/9/4)】
【エタノール燃料の普及促進のため、政府が法改正などを模索(2006/8/14)】
【環境省、バイオマス燃料の流通促進の方針を固める(2006/8/11)】
【新エネルギーとして期待が高まるバイオエタノールの大規模実証実験、沖縄で始まる(2006/6/22)】

日本国内・民間の動き


【マツダ、食糧の需給に影響を与えないバイオプラスチックの技術開発に着手(2008/6/14)】
【セブン-イレブンがサミット向け配送車にバイオディーゼル燃料使用車両を採用(2008/6/3)】
【アイシン精機が社員食堂の廃油を通勤バスの燃料に活用(2008/5/10)】
【石油連盟主導のバイオガソリン「ETBE」、販売スタンドを2倍増の100か所に(2008/4/28)】
【木材利用の固形燃料「バイオペレット」日本最大の工場完成(2008/4/18)】
【お酒の発酵技術を応用した「スーパー酵母」でバイオエタノールを簡単に製造・月桂冠開発(2008/3/20)】
【「アポロ&ポセイドン構想2025」シンポジウム・まとめなど……その1(2008/3/16)】
【トヨタ、バイオエタノール混合率10%燃料対応車の認定を取得(2008/3/15)】
【「アポロ&ポセイドン構想2025」シンポジウムで新たに分かったこと(2008/3/13)】
【食用油の廃油でバスを運行・JR東日本がバイオディーゼル燃料の実証実験(2008/3/6)】
【2025年には日本が資源大国に!? 三菱総研「アポロ&ポセイドン構想2025」提示(2008/2/20)】
【生まれは生ごみや下水の泥! バイオガス普及促進「バイオガス・ネット・ジャパン」設立(2008/1/21)】
【「給食ごみ」=「バイオエタノール」+「バイオガス」な実験を東京ガスが実施(2007/12/13)】
【三菱商事が国産バイオエタノール製造事業に資本参入(2007/8/8)】
【プロジェクト名は「オーシャン・サンライズ計画」・東京水産振興会発の「海藻からバイオエタノール年間400万トン」構想詳細判明(2007/5/15)】
【三菱商事とキリンビール、バイオエタノール製造施設建設を受注(2007/6/20)】
【石油元売りが進める「バイオ燃料」の輸送船第一便フランスから到着、27日から試験販売(2007/4/7)】
【「海藻からバイオエタノールを400万トン/年生産」水産振興会構想発表・2013年から実証事業開始(2007/5/12)】
【三井造船が岡山県と共同でもみ殻や稲わらなどからエタノールの生産を開始(2007/3/28)】
【海藻(かいそう)でバイオ燃料問題が一挙に解決!? 東京海洋大や三菱総合研究所などが計画(2007/3/27)】
【ジェトロがバイオ燃料利用のためブラジルに視察団派遣へ(2007/3/22)】
【荏原(6361)がバイオエタノール事業に参入・日経報ず(2007/3/9)】
【バイオエタノール混入のガソリン、名称「バイオガソリン」に(2006/12/31)】
【キリンビール(2503)、ビールの副産物でバイオ燃料抽出実験・産経新聞など報ず(2006/12/29)】
【石油連盟、バイオエタノール原料の輸入事業組合を1月設立(2006/11/17)】
【新日本石油とトヨタ、ヤシの実から出来るパーム油燃料の開発に着手(2006/10/24)】
【石油元売もバイオエタノール販売へ、ただし経済産業省とは別形式のETBEで(2006/9/21)】
【ホンダ(7267)、雑草を材料にバイオエタノールを製造する新技術を開発(2006/9/15)】
【石油連盟、バイオエタノール混合ガソリン試験販売へ(2006/8/21)】
【石油高騰を受けガソリン大幅値上げへ】
【バイオエタノール、試験販売へ(2006/7/24)】
【トヨタ(7203)と新日本石油(5001)、2009年からバイオ燃料を開発、生産開始(2006/7/23)】

関連ジャンルとの絡み


【食料価格にも影響か・肥料大幅値上げ、最大で9割(2008/6/29)】
【パン300個が1300円で買える時代(2008/6/23)】
【地球温暖化対策政策・サマータイム導入には57%、環境税導入には4割が賛成(2007/8/8)】
【太陽電池やバイオ分野が有望!? 富士経済が近未来における国内エネルギーの各分野における動向を予想(2007/7/25)】
【あちらを立てればこちらが立たず……地球環境のバランス調整の難しさを知るゲームたち(2007/5/12)】
【「自分でもできること」日頃から心がけている地球温暖化対策ランキング、トップは「水」(2007/5/5)】

関連サイト


【シャリア指数覚書】

(最終更新日:2013.07.01.)



スポンサードリンク



このエントリーをはてなブックマークに追加
▲ページの先頭に戻る    « 前記事|次記事 »

(C)2005-2024 ガベージニュース/JGNN|お問い合わせ|サイトマップ|プライバシーポリシー|Twitter|FacebookPage|Mail|RSS