年収は男性365.4万円・女性325.8万円…前世紀からの働く単身若年層のお財布事情を多方面から確認する(最新)

2021/09/16 04:10

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2021-0904一人暮らしをしている若年層はお財布事情が厳しいとの指摘がある。今回はそれを数字的に裏付けるため、総務省統計局の全国家計構造調査の公開値を基に、その実情を確認することにした(【2019年全国家計構造調査】)。

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この類の状況確認には家計調査が一番無難な統計なのだが、残念ながら同調査は現時点で2002年分以降の値しか公開されていない。一方全国家計構造調査(旧:全国消費実態調査)は5年おきの調査結果だが、直接の公開ページでは1999年分以降、さらに【日本の長期統計系列】の公開値を用いることで、1984年以降の値が取得可能となる(日本の長期統計系列では家計調査の古い値も公開されているが、年齢階層別の値は未公開となっている)。

最初に示すのは、単身世帯のうち勤労者世帯の年収推移。この年収とは【収入と税金の変化(家計調査報告(家計収支編))(最新)】でも説明している通り、実収入を意味する。よく見聞きする「所得」は、ここから直接税や社会保険料などを差し引いた手取り収入を指す。この社会保険料なども確認したいところだが、残念ながら日本の長期統計系列では公開されていない。

なお全国家計構造調査では単身者は15歳以上を対象としており、また学生単身者は調査対象外となっていることに注意が必要。今件対象者は16-29歳の一人暮らしで職に就いている人となる。

↑ 単身勤労者世帯の年収(29歳以下、男女別、万円)
↑ 単身勤労者世帯の年収(29歳以下、男女別、万円)

男女ともに前世紀末にかけて少しずつ上昇し、今世紀に入ってからは女性が横ばい、男性は減少。直近年となる2019年では男性が少しばかり上昇、女性は大きな上昇を示している。直近年では男性が365万4000円、女性は325万8000円。

続いて貯蓄の動向。これは男女別に確認を行う。なお「その他」は生命保険などが該当する。

↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、男性、万円)
↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、男性、万円)

↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、女性、万円)
↑ 単身勤労者世帯の貯蓄(29歳以下、女性、万円)

女性はややばらつきがあるが1994年以降はおおよそ横ばい。男性はおおよそ増加傾向にある。ただし男性では直近で前回年から大きく減少した流れを見ると、2004年以降は上下に触れながらも横ばいと解釈した方がよいかもしれない。男性では1984年と比べて35年後の2019年では貯蓄額が1.6倍ぐらいに増加している。

リーマンショック直後で景況感が非常に悪かった2009年において、男性は貯蓄を減らしているのに対し、女性は逆に増やしている。経済的危機が生じた時における、男女間の貯蓄性向の違いが見えているのは興味深い。

【現在0.001%、かつては4.800%の時代も…郵便貯金の金利推移(最新)】でも解説している通り、日本の金利は前世紀末に大きな低下を示し、今世紀に入ってからはほぼゼロに近い状態が続いている。一部でイレギュラーが生じているが、男女ともおおよそ定期性預貯金の金額を減らし、通貨性預貯金を増やす動きを示している。若年層の単身勤労者もまた、定期性預貯金の意義を見出しにくくなっているのだろう。男性では全貯蓄に占める定期性預貯金の割合が1984年時点では42%だったのに対し、2019年では16%にまで減少している。女性ではまだ定期性預貯金への傾注が高めだが、それでも60%から35%にまで減っているのが実情ではある。


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