少しずつ減っていた睡眠時間…年齢階層別睡眠時間の推移(最新)

2024/12/18 02:39

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2024-1211呼吸や食事とともに人の生理行動で欠かせないのが睡眠。必要な睡眠時間を削る、さらには徹夜をしようものなら、心身に変調をきたし、能力が落ち、判断力も低下し、多様なトラブルを生じてしまうのがオチではある。今回は総務省統計局が2022年8月31日以降順次結果を発表している2021年社会生活基本調査の結果を用い、1976年以降における睡眠時間の移り変わりを確認していくことにする(【令和3年社会生活基本調査】)。

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漸減する平均睡眠時間だったが


今調査の調査要綱は先行記事の【ボランティア活動の実態(最新)】を参照のこと。


最初に確認するのは男女それぞれの全体的な平均睡眠時間。週全体なので平日5日分と土曜・日曜それぞれの睡眠時間をすべて合わせて平均してある。

↑ 平均睡眠時間(15歳以上、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 平均睡眠時間(15歳以上、週全体、1日あたり、時間:分)

1976年当時は男性8時間15分、女性7時間56分だった睡眠時間も、前世紀末にかけて漸減。1996年に一時持ち直すも(1991年までは10-14歳は調査対象に含まれていなかったので、それが影響しているのだろう)、再び漸減。2016年では男性7時間42分、女性7時間32分までに減った。女性はほぼ底打ちの雰囲気もあるが、男性はまだ今後も減少しそうな動きではあった。

ところが直近の2021年では男女ともに大きく延び、男性は7時間56分、女性は7時間47分となる。これは新型コロナウイルスの流行により、少なからぬ人が帰社を前倒しにされ、さらには在勤になったことで、就寝時間が早まったのが原因と考えられる。

今件は調査対象母集団全体の平均のため、高齢化に伴い睡眠時間の長い高齢者の比率が高まっていることから、睡眠時間は延びても不思議ではない。しかし実際には高齢化の影響を受けてなお、大きく睡眠時間が減っていることになる(2021年は新型コロナウイルスの流行という特殊要因があったため)。

年齢階層別で見ると


次に示すのは年齢階層別の睡眠時間の動向。高齢化による高齢者比率の増大に伴うゆがみを考慮しなくても済む動向を確認できる。なお1991年までは10-14歳は調査対象外だったため値が示されていない。

↑ 年齢階層別睡眠時間(週全体、1日あたり、男性、時間:分)
↑ 年齢階層別睡眠時間(週全体、1日あたり、男性、時間:分)

↑ 年齢階層別睡眠時間(週全体、1日あたり、女性、時間:分)
↑ 年齢階層別睡眠時間(週全体、1日あたり、女性、時間:分)

受験勉強などの勉学で忙しくなる15-19歳までで睡眠時間が短くなり、大学生などが含まれる20-24歳で大きく伸び、それ以降は男性は就労でほぼ横ばい。女性は子供ができることで家事や育児で多忙になり、睡眠時間は短くなっていく。男性は定年退職、女性は子供が成人になるぐらいから睡眠時間は伸びていく。この傾向は昔も今も変わらない。

昔と今で異なるのは睡眠時間そのもの。おおよそどの年齢階層でも昔と比べて今に至るに連れて、睡眠時間は短縮する傾向にあった。イレギュラーな動きとしては男性の20代、女性の20代から30代で、これらの層は一時期減っていた睡眠時間が戻しを見せる動きを示していた。特に女性は20代ではほぼ1976年の水準にまで戻していた。

そして新型コロナウイルスの流行という特殊状況下での2021年だが、未成年から現役世代までは押しなべて睡眠時間が延びている。男性では15-19歳以上50-59歳までで、ほぼ同じ時間の延びが見られる。そして60歳以上ではほぼ変わらず。登校や出勤が無くなったり、帰宅が早まることで、一日の過ごし方に変化が生じ、早めに就寝することができるようになったため、睡眠時間が長くとれたと推測できる。60歳以上で前回調査とほぼ変わらない値が出ているのは、高齢層では登校や出勤の必要はないため(それでも経年でこれまで減少傾向だったのがほぼ変わらずになっていることから、実質的に睡眠時間は延びているとの解釈も可能)。

女性も2021年では男性と同じような動きをしているが、過去においては変化がほとんど無かった10-14歳の時点で明らかに延びる動きが生じていることや、前回調査からの延びが60-64歳まであることや、30代までは過去の調査の中で一番の長さを示しているあたり、男性以上に睡眠時間の延びが生じたように見える。

やらねばならないことを1日の中に詰め込むには、睡眠時間を削るしかない。睡眠時間の短縮傾向は、それだけしなければならないことが増えているのだろう。そして新型コロナウイルスの流行で、やらねばならないことが減った2021年は、その分、睡眠時間を延ばすことができたのだろう。


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