幼子がいる世帯の平日の帰宅時間の実情(最新)
2017/12/13 05:13
共働き世帯の増加や子育てへの関心が高まるに連れて、就労者における平日の帰宅時間に注目が集まっている。睡眠時間との兼ね合わせもあるため就寝時刻は遅くにずらせない以上、帰宅時刻が早ければ早いほど、家事や育児に従事する時間も取れるからだ。今回は総務省統計局が2017年7月14日以降順次結果を発表している2016年社会生活基本調査の結果を用いて、幼子がいる子育て世帯における、平日の帰宅時刻の実情を確認していくことにする(【平成28年社会生活基本調査】)。
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共働きか否か、祖父母がいるか否か
今調査の調査要綱は先行記事【ボランティア活動の実態】を参照のこと。
次に示すのは6歳未満の子供がいる世帯における、平日の平均的な帰宅時刻。「夫と子供、親の世帯」とは、夫婦世帯の祖父母(一人でも可)が同居している世帯を意味する。また、専業主婦世帯では妻は就労していないため、帰宅時刻は計上されていない。
↑ 6歳未満の子供がいる世帯における平日の帰宅時刻(2016年)(時:分)
共働き世帯の場合、妻はパートやアルバイトに就労しているケースがほとんどのため、そして自宅に戻って夕食の準備などの家事を行う必要があるため、帰宅時刻は17時前後。祖父母がいる世帯では家事の一部を任せられる可能性があるため帰宅時刻は遅くなってもよいはずだが、現実にはむしろ早くなっている。あるいは介護が必要な状態のケースがあるのか、早く帰るよう急かされているのか。
夫の帰宅時刻は大よそ20時台。専業主婦世帯で祖父母がいる場合は少し早くなり19時台に帰宅しているが、これも祖父母に急かされている感がある。他方、夫婦と子供のみの世帯の場合、専業主婦世帯の方が帰宅時刻はいくぶん遅くなり、20時半を超える。
グラフ化は略するが、夫の就寝時刻は23時半前後。祖父母がいる専業主婦世帯では午前ゼロ時を超えての就寝となる。帰ってから寝るまでの時間は3時間から4時間。食事を取り、風呂に入り、明日の準備をすればそれで終わってしまいそうではある。自分の趣味に没頭する時間を割くのも難しそうだ。家事・育児を夫にもとの声が声高に上がり、実際に夫の家事・育児の時間も伸びてはいるが、時間の確保をするためには、まず帰宅時刻を早めることが何より大切なのがよく分かる実情ではある。
保育所などを利用しているか否か別では
続いて保育所などの子供預け入れ施設の利用の有無と共働き世帯における帰宅時刻との関係。元データには6歳未満の子供が2人以上のケースも収録されているが、それぞれの子供が利用しているか否かで分岐されており、非常に雑多な結果となってしまうため、今回は1人いるケースのみを精査する。また、在園しているが1日の在園時間4時間未満の属性は有意値が計上できなかったために空欄となっている。
↑ 6歳未満の子供が1人いる共働き世帯における平日の帰宅時刻(2016年、保育所(園)・幼稚園・認定こども園などに在園しているか否か・在園時間別)(時:分)
在園していない場合、夫は20時前、妻は19時前に帰宅。夫はともかく妻は思った以上に遅い帰宅時刻だが、保育所などの施設以外の育児支援を受けている可能性がある。とはいえ、そればかりではないだろうから、そのような世帯の場合は日中の育児がどのような状況となっているのか、少々不安な状態には違いない(祖父母がいる「夫と子供、親の世帯」ではないことに注意)。
該当する子供が在園している場合、妻は在園時間が短いほど帰宅時刻も早くなる。これは早く帰らないと子供を迎えに行けないからで、当然の話。あるいは逆で、短い在園時間でしか預けられないからこそ、帰宅時刻を早めねばならない状態なのかもしれない。
一方夫は在園時間との間に傾向だった動きは無い。在園時間が11時間以上のケースが一番帰宅時刻が早くなる。結果として子供の在園時間が長いほど、夫と妻の帰宅時刻の差が縮まる結果となっている。妻の長時間の就労を気遣い、少しでも家事などの手助けを、との思いがそうさせているのだろうか。
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