劇的な若者の4マス離れ…年齢階層別に見た4マス接触の時間の実情と過去からの変化(最新)

2017/11/29 05:02

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2017-1124紙媒体はいくぶん能動的なところもあるが、4マスと評されるテレビ・ラジオ・新聞・雑誌から成るマスメディアは、プライベートな時間を受動的に過ごすのに用いる主要な手立てである。昨今ではインターネットの普及をはじめ、生活環境が大きく変化したことから、この4マスへの注力が減っているとの指摘もある。今回は総務省統計局が2017年7月14日以降順次結果を発表している2016年社会生活基本調査の結果を用いて、それら4マスへの接触時間の実情と、過去からの変化を確認していくことにする(【平成28年社会生活基本調査】)。



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今調査の調査要綱は先行記事【ボランティア活動の実態】を参照のこと。

今調査では生活様式に関して「睡眠」「身の回りの用事」「食事」「通勤・通学」「仕事(収入を伴う仕事)」「学業(学生が学校の授業やそれに関連して行う学習活動)」「家事」「介護・看護」「育児」「買物」「移動(通勤・通学を除く)」「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」「休養・くつろぎ」「学習・自己啓発・訓練」「趣味・娯楽」「スポーツ」「ボランティア活動・社会参加活動」「交際・付き合い」「受診・療養」「その他」の20に区分している。今回はこの中で「テレビ・ラジオ・新聞・雑誌」、つまり4マスとの接触時間の動向を確認する。なおいわゆる「ながら行為」による時間は含まれない。あくまでも主行動の時間であることに注意が必要。

まずは直近2016年の男女別・年齢階層別動向だが、若年層は女性、中堅層以降は男性の方が長くなる。男女間の長さが逆転するのは40代後半。

↑ 男女、年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)
↑ 男女、年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(2016年、週全体、1日あたり、時間:分)

40代前半まで女性が長いのは、専業主婦にしても共働き世帯の主婦にしても、勤め人であることが多い男性と比べると、在宅時間が長いから。とはいえ、パートなどに出る人の割合が増え、自宅でも家事や育児で多忙になる30代から40代にかけて少しずつ時間は短くなっていく。

女性は60代前半までは1時間半前後を維持したままだが、男性は30代後半から少しずつ時間が伸び、50代後半から一気に増加し、70代以降は4時間半を超える。時間に余裕が持てる度合いや、趣味のシンプル化、心身の衰えに伴い受動的な時間の過ごし方を好むようになり、その対象として4マス(恐らくは特にテレビやラジオのような、より受動性の高いもの)を積極的に選ぶ様子がうかがえる。

50代以降は育児はともかく家事は継続するものの、男女間で自由な時間の度合いには大きな変化は無く、定年退職期以降はむしろ男性の方が時間に余裕ができる。その点では男性の方が中堅以降に4マスの時間が長くなるのは理解できるものの、特に定年退職期以降の男女の差異が大きく生じるのは、男女間における自由時間の過ごし方の根本的な認識の違いによるものだろう。

今回調査結果の2016年だけでなく、過去のデータも併せて動向を確認したのが次のグラフ。過去の調査では年齢階層の仕切り分けが直近分と異なる場合があり、その分は空白となっているため、1986年と1991年では断片的な値しか反映されていない。

↑ 年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(1986年-、週全体、時間:分、一日あたり)
↑ 年齢階層別テレビ・ラジオ・新聞・雑誌の時間(1986年-、週全体、時間:分、一日あたり)

先行記事【年齢階層別に見た休養や4マス接触などの自由時間動向】でも解説しているが、50代後半から60代前半を境目として、それより若い層(現役世代)は少しずつ4マスへの接触時間を減らしている一方で、上の層ではむしろ逆にわずかずつだが接触時間は長くなる動きを示している。特に若年層から中堅層までの、今世紀に入ってからの短縮ぶりは劇的で、今世紀直後の2001年と比べて2016年では、大よそ30代前半までは半分前後にまで短くなっている。

1日は24時間しかないので、何かに注力する時間が増えれば、その分他の時間を減らす必要がある。現役世代にとって4マスへの接触は、優先順位が低いと認識されつつあるのだろう。4マスを用いて情報を取得するか否かの観点では、高齢層と若年層のギャップが昔と比べて大きくなるのも無理は無い。


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