「景気がよい」と考えている人ほど「今の政府は自国のために正しいことをしている」と考えている
2017/11/09 05:06
先行記事【「今の政府は自国のために正しいことをしてるのだろうか」世界各国の人達の認識】でアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年10月16日に発表した調査報告書【Globally, Broad Support for Representative and Direct Democracy】を元に、自国の政権が正しいことをしているか否かの実情を確認した。今回はその派生的な話として、回答者が自国の経済をどのように認識しているか否かと、政権の国のかじ取りの正否の判断の関係について見ていくことにする。
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今調査の調査要綱は先行記事【「あなたの国では民主主義が満足できるほどに機能している?」世界の人に聞いてみました】を参照のこと。
先行記事にある通り、各国の国民において自国の政権が正しいことをしている、正しい国のかじ取りをしているとの認識をしているか否かは国によってまちまちで、多分に回答者の支持政党が政権を担っているか否かに左右される状況にある。
↑ 今の自国の政権が自国のために正しいことをしていると信頼できるか(「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢)(2017年春)(再録)
それでは回答者の国レベルでの経済状態の認識ではどのような違いが出るのだろうか。次に示すのは、今の自国の政権が自国のために正しいことをしていると信頼できるか否かを「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢で答えてもらったうち、「大変信頼できる」「信頼できる」の合算を信頼派として計算。その上で、別途質問として現在の回答者の経済状態を「よい」「悪い」の2択で答えてもらい、その回答で仕切り分けした上で、よい派と悪い派における信頼派の値を比較して、よい派の方が上回った国を列挙し、その差をグラフに反映させたもの。全体では該当設問に回答した37か国のうち35か国までが該当している、自国経済がよい状態にあると判断した人の方が、悪い状態にあると判断したよりも自国の政権が正しいことをしていると信頼している人の割合が多いことになる。
↑ 今の自国の政権が自国のために正しいことをしていると信頼できるか(「大変信頼できる」「信頼できる」「信頼できない」「まったく信頼できない」の4選択肢のうち「大変信頼できる」「信頼できる」の合計=信頼派)(現在の経済状態を「よい」「悪い」の2択で答えてもらい、「よい」と回答した人の信頼派の値から「悪い」と回答した人の信頼派の値を引いてプラスが出た国の、具体的差異、ppt)(2017年春)
例えばベネズエラでは自国経済がよい状態だと考えている人の79%は自国政権を信頼し、悪い状態だと考えている人は16%しか信頼していない。結果として63%ポイントもの差異が生じている。なおベネズエラ全体では信頼派は29%に留まっているため、自国経済が悪いと考えている人の方が多いことは容易に想像ができる。
さらに29か国では差異が20%ポイント以上開いているとし、国レベルでの経済的な不調ぶりもまた、国が正しいかじ取りをしているとの信頼ができない要因となると報告書では説明している。他の例として「インドは85%もの人が自国の政権を信頼しているが、これは同国が2012年以降年平均でGDPの成長率がプラス6.9%と高い値を維持しているのに裏付けされる」「イタリアではわずか26%しか自国の政権を信頼していないが、同国では2012年以降のGDP成長率がマイナス0.5%を計上している」などが挙げられている。
また差異が大きい国はベネズエラのような特殊事情を持つ国を除けば、ヨーロッパに集中している感はある。これも支持政党が政権についているか否か別で、自国の政権のかじ取りが正しいと思えるかの差異同様の傾向。支持する政党が政権についている≒国の経済がよいとの認識≒国のかじ取りは正しいと考えているといった構図が透けて見える。
国民の関心事は多分に経済にあり、それが堅調にあると認識できれば、国のかじ取りは上手く行われている、政権は自国のために正しいことをしていると考える人が増える。当たり前の話だが、改めて確認できる結果ではある。
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