「今の景気は良い」と思っている人は41%…日本の景況感

2017/10/26 04:57

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アメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerは2017年10月17日、日本人を対象にした日本の現状に関わる調査報告書【Japanese Divided on Democracy’s Success at Home, but Value Voice of the People】を発表した。それによると調査対象母集団においては41%の人が「今の日本は景気が良い」と考えていることが分かった。他方、今の子供が大人になる頃、日本の景気は今よりも良くなっていると考えている人は19%に留まっている。



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今調査は2017年春のPew Research Centerによる国際的な一斉調査によって行われたもので、今報告書の内容はその調査結果の中から日本における調査部分を抽出したもの。実施期間は2017年3月8日から4月2日。電話による音声対応でのインタビュー形式で行なわれており、RDD方式で選ばれた電話番号(固定電話と携帯電話が半々)にかけて、電話に出たのが18歳以上だった人が対象。総回答者数は1009人。性別、年齢階層別、地域別などでウェイトバックが実施されている。

次に示すのは景況感の推移。回答時点の景況感を尋ね、「とても良い」「良い」「悪い」「とても悪い」の4つの中から選んでもらい、そのうち「とても良い」「良い」を合算した結果をグラフにしたもの。この値が大きいほど、景況感は良いことになる。

↑ 今の日本の景気は良いか(「とても良い」「良い」「悪い」「とても悪い」のうち前者2つの回答合計)(日本)
↑ 今の日本の景気は良いか(「とても良い」「良い」「悪い」「とても悪い」のうち前者2つの回答合計)(日本)

もっとも古い2002年時点ではわずか6%。ITバブル崩壊による景気後退期で、景況感は底にあった。その後しばらく調査は途絶えるが、次に回答値が得られたのは2007年。今調査は該当年の春先に行われているので、サブプライムローン問題の体現化による金融危機ぼっ発直前の、好景気な時の調査のため、28%にまで上昇。しかしその後は金融危機、さらにはリーマンショック、そして震災を経て値は下落。震災後の2012年には7%にまで落ち込む。

その後は大きく持ち直し、2014年には2007年時点の28%を超える35%に。2016年にはやや落ち込むも(年初からの中国株の大暴落に伴う株式市場の混乱が影響したのだろう)、直近の2017年では41%と最高値を更新する。単純な景況感だけでなく、その背後にあるさまざまな事象が透けて見える結果ではある。

しかしながら将来の景気に関する展望は、あまり明るくはないようだ。次に示すのは今の子供が大人になる頃(具体的な年数などは記されていない)、日本の景気は今よりも良くなっているか否かを尋ねた結果。

↑ 今の子供が大人になる頃、日本の景気は今よりも良くなっているか(日本)
↑ 今の子供が大人になる頃、日本の景気は今よりも良くなっているか(日本)

大半の人は「将来は今よりも景気が悪くなるだろう」と考えていることが分かる。とはいえそれでもなお、少しずつではあるが「将来は今よりも景気が良くなる」と考えている人が増えているのは、昨今の景況感の回復によるものだろう。

最後に複数の視点から、経済に関する認識を尋ねた結果をまとめてみる。一つのグラフに集約するため、回答のいくつかは結果を簡略化している。

↑ 経済に関する認識(日本、2017年)
↑ 経済に関する認識(日本、2017年)

昔と比べて今の景気は良いけれど、比較なしに単純に考えると景気が良いと考えている人は少数派。ただ、他の多数調査からも傾向として表れているが、日本人はネガティブな思惑を持つ場合が多いことから、これでも随分と良い結果であるとも判断できる(上記経年変化を見てもそれは理解できるはず)。

また、グローバリズムの進行で世界経済の動向が日本の経済にも大きな影響を与えていると認識している人は過半数に達している。昨今の株価動向を見ても、多分に海外情勢に左右されていることから、同意を示す人は多いのだろう。

なお報告書では一部ではあるが、属性別の回答状況の説明もある。それによれば現在の子供が大人になった時の日本の景気動向に関して、30歳以上と比べると18歳から29歳の方が楽観的意見は多く、32%は「今の子供が大きくなる頃には今よりも景気は良くなる」と答えているとのこと。頼もしい話ではある。


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