新技術は自分の仕事にプラスとなるか否か、米国事情を学歴別に確認する
2017/10/17 05:14


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今調査の調査要綱は【技術の発展は自分の仕事にどのような影響を与えているのか、米国就業者の思い】を参照のこと。
次に示すのは昨今ではごく当たり前になった、あるいは導入浸透過程にある新技術に関して、その導入が自分の仕事に貢献している、さらには自分自身の昇進機会にプラスとなるか否かを尋ねた結果。選択肢には「プラス」「マイナス」「影響なし」が用意されており、そのうち「プラス」と回答した人の値が計上されている。たとえばワープロや表計算ソフトで高卒以下は45%とあるので、就業者のうち高卒の人は45%の人が、ワープロや表計算ソフトがあるおかげで、自分の仕事が楽になったと感じたり、自分自身の昇進機会には有益であると判断している。

↑ 各技術が自分の仕事や昇進機会に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)(学歴別)(「プラス」回答率)
大よそグラフの横軸項目の並び順に有益判断が高くなっている。もっとも工業用ロボットやカスタマーセルフサービスは、利用できる業態が限られているため、その存在が自分の仕事にプラスとなるとは思えない人も多分に及ぶだろう。例えば冒頭の例にある漫画家が、工業用ロボットを導入しても仕事が楽になるとは思えない。
各技術の中では身近な、仕事だけでなく私用でも大いに役立つものが有益だと思われている率は高い。他方、学歴別では明確に、高学歴ほど有益だとの判断が高い結果が出ている。
この傾向はいくつかの解釈ができるが「高学歴ほど新技術を大いに用いる業態で働いている」「高学歴ほど新技術を有効に使いこなし、その便益を享受している」などが考えられる。恐らくはそれら複数の結果の積み重ねによるものだろう。私用でも多数の人が用い、その便益を満喫しているスマートフォンでは、低学歴でも高い値、特に高卒ではワープロや表計算ソフトよりも高値をつけているのが良い証ではある。要は自分自身が使いこなせなければ、その業態で有益だとしても、回答者自身にはプラスにならないという次第である。
高学歴ほど新技術の便益をより大きく享受している(と自覚している)。この傾向は全体的な考え方でも明らかになっている。

↑ 新技術が自分の仕事に与えている影響(2017年5月、米国、18歳以上の就業者)(学歴別)(「プラス」回答率)
高い学歴を持つ≒新技術を使いこなせる能力を持つ、新技術が使える業態で働いている人ほど、新技術で昇進機会を得られると自覚し、また仕事の活力が沸き上がると実感している。
技術の進歩でそれを使える人と使えない人の間に生じる技術格差から生じる隔たりは、あらゆる場面で生じえる。身近なところではスマートフォン、さらにはインターネットの利用が良い例ではある。仕事におけるやり甲斐や昇進機会もまた、同様なのだろう。そしてこれはアメリカ合衆国に限った話ではないのかもしれない。
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