何があれば意思決定に役立つのか、情報環境の整備への期待の米国事情
2017/10/16 05:00
人は単に暇つぶしのためにだけでなく、何かの意思決定、判断のために情報を入手する。手に入った情報を正しいものと認識した上で、その情報から色々な推論をしたり事実を見極め、自分の考えを決定づけたり、さらには判断を行う。人は日々判断をする生き物であることから、より多い、より正しい情報が取得できれば、意思決定がより確実に、正しく行えることになり、一層快適な生活が望める、少なくとも判断に迷って時間を浪費したり、あやふやな決定で後悔をする機会も減らせるはず。今回はアメリカ合衆国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年9月11日に発表した報告書【How People Approach Facts and Information】を元に、同国の大人たちがどのような環境が、意思決定に貢献すると考えているかについて見ていくことにする。
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今調査の調査要綱は先行記事【興味のあるジャンルと情報元の信頼性と…米国のニュース事情】を参照のこと。
次に示すのは意思決定にどれほど役に立つと考えているのか、その度合い。冒頭の説明の通り、より確かな、より速い意思決定をするためには、情報をより多く、より正確に、そしてより適切に取得できるかがカギとなるため、情報を取得するための環境の整備が求められることになる。
↑ 意志決定に役立つ度合い(2016年9-11月、米国、18歳以上)
提示された選択肢の中で強度の役立ち度の回答率が一番高かったのは携帯電話(スマートフォン含む)のデータ利用料金の固定制。要は携帯電話でインターネット上の情報を検索する際に、データ使用料金を気にせずに使えれば、意思決定には大きな貢献をすることになると多数の人が考えている。ほぼ同率で安定性の高い自宅ネット環境がついており、料金を気にせずにインターネットを自在に使える環境が、意思決定に貢献するとの認識があると判断できよう。
大変役立つに加えそれなりに役立つを加えた貢献派を算出すると、安定性の高い自宅ネット環境と同率を示すのが、該当事案に関して知識豊富な人が組織や家族、友達に居ることで73%。要は口コミ、直にやり取りをできる、しかも長年の付き合いでそれなりに信頼性のおける人からの情報を得られるかがポイントということ。ただし大変役立つとの回答率は37%と、インターネットの自在利用環境と比べて低め。
他方、インターネットを自由に使えても、そこに掲載されている情報の信ぴょう性が精査できなければ、ガセネタをつかまされる危険性はある。信ぴょう性の低い情報でも構わないとして取得してしまうと、意思決定そのものはスピーディーにできるかもしれないが、間違った判断をしてしまいかねない。そこでインターネット上の情報から信ぴょう性の高いものを見つけ出すための訓練が必要になるわけだが(実際には訓練だけでなく経験も必要になる)、それを挙げている人は大変役立つとする人が31%、それなりに役立つする人は29%。情報の中身の精査ではなく、まずはパソコンやスマートフォン、インターネットを思うがままに使いこなすための訓練が必要だとする人は貢献派が54%。
先行記事で「情報の信頼性は家族や友人、政府やニュース組織よりも高い」と絶大な信頼性を置かれた図書館だが、意思決定の際への役立ち度の認識は、インターネット関連よりも低い。とはいえ、4割から5割の人が貢献派との結果が出ている。
今調査項目ではインターネットと図書館、身近な人にのみスポットライトが当てられており、例えば「該当事案に関連するテレビニュースをいつでも見ることができる」「該当事案に関連する記事が載っている新聞のバックナンバーをすぐに参照できる」のような選択肢は無い。とはいえそれらは多分にインターネットを用いて行えることから、インターネットの利用に包括されているのだろう。
見方を変えれば少なくともそのメディアの形状そのものでは、意思決定への貢献度はさほど高くないと考えられているのかもしれない。
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