成人全体で7%は自分を守るために発砲した経験あり…銃社会で暮らす米国民の認識
2017/10/15 05:05
日本とは違いアメリカ合衆国では、一定の規制に従うことで銃を所有することが可能となっている。それでは同国民はその銃に関して日常生活においてどのような認識を持っているのだろうか。同国の民間調査会社Pew Research Centerが2017年6月22日に発表した調査結果【America’s Complex Relationship With Guns】から、その実情を確認する。
スポンサードリンク
今調査の調査要綱などは先行記事【米国成人の3割は銃を所有している】を参照のこと。
まず最初に示すのは、銃の発砲経験があるか否か。先行記事の通り今調査対象母集団では全体の3割が自ら銃を持ち、1割強が世帯内の自分以外で銃所有者がいる。
↑ 自分の世帯に銃保有者がいるか(2017年3-4月、米国)(18歳以上)(再録)
銃を自ら所有していなくても、自宅外で他人の銃を用いて、自宅内でも第三者の銃を借りて、撃つ機会は生じえるが、実態としては自己防衛のために発砲した経験がある人は全体の7%に留まっている。これには警察官などによる業務上の発砲や、狩猟や競技における発砲は含まれない。
↑ 自己防衛のために銃を使った(撃った)経験がある(2017年3-4月、米国)(18歳以上)
現在銃所有者に限定すれば17%、過去に所有した経験がある人ならば9%、一度も銃を持ったことが無い人では1%でしかない。銃を所有すると銃を使って自己防衛をしなければならないような事態に遭遇する可能性が高まるとは考えにくいので、危険な場面において銃所有者は積極的に銃で対応のための発砲をしたと考えるのが無難だろう。
自己防衛のために銃を所有している人は、いつでもすぐに敵対対象に銃を向ける、さらには発砲できるよう備えておいた方が、いざという時には対応がしやすい。銃所有者の38%は常に弾を込めてすぐに手が届く場所に銃を置いている。
↑ 自宅にいるときには弾を装填した銃をすぐに手が届く場所においているか(銃所有者限定)(2017年3-4月、米国)(18歳以上)
無論銃所有理由が狩猟や競技用、仕事用であれば、防犯や悪用を防ぐため、弾と銃本体は別々の場所に保管し、手が届きにくい場所に置いておいた方がよい。しかし自己防衛のために所有している場合、必要な時にすぐに対処できないのでは意味が無い。実際、自己防衛が主な銃所有の理由の場合は5割近くが常に弾を込めたままで手が届く場所に置いていると回答している。狩猟や競技、仕事で使う場合は、2/3近くが絶対にそのようなことはないとしている。
男女別では男性の方が置いている頻度は高いものの、「絶対ない」の割合はほとんど変わらず。女性は誤動作リスクや子供の悪用を懸念しているのかもしれない。報告書にも「50歳未満に限定すると男女の差異は明らか。常にとする回答率は男性で41%、女性で17%となる。50歳以上ではそれぞれ44%と40%になり、大した違いは無い」と説明されている。
自己防衛の武器としては頼りになる、しかし誤動作や悪用のリスクもある銃の所有。世帯への安全にとってはプラスとなると考えられているのか否か。興味深い結果が次のグラフ。
↑ 世帯で銃を所有することによる生活における安全性への影響認識(2017年3-4月、米国)(18歳以上)
銃所有者は3/4が世帯に銃があることで安全を高めると認識しており、逆に低くなるとする意見は2%でしかない。回答者自身が銃を所有していなくても世帯内に銃がある場合、5割が安全性向上を認識し、低めるとの意見は6%のみ。本人も世帯の他の誰も銃を所有せず、世帯内に銃が無い人でも28%は高めるとし、変わらないは52%、低くしてしまうとの意見は2割のみに留まっている。
実態として安全性のプラスマイナス勘定がどのような結果になるのかは環境次第ではあるのだが、全般的な認識としては「世帯に銃があれば安全が向上する、少なくとも悪化することは無い」というのが大勢のようだ。
■関連記事:
【銃所有上のさまざまな規制、アメリカの人達の同意率を属性別で見てみると】
【銃所有の規制と権利主張、そのはざまでゆれるアメリカの心境】
【銃所有権利は守るべきか規制強化をすべきか、そして犯罪被害防止に役立つかリスクを上乗せするか…アメリカの人達の考えの内情】
スポンサードリンク