歳で大きく異なる米国のニュースへの信頼度合いと取得ルート事情
2017/10/04 05:31
自分の人生経験全体の中でインターネットなどのデジタルメディアとの接触時間比率が高い若年層は、その経験比率に基づき、デジタル系への傾注が強く、新聞やテレビなどの従来のメディアをあまり利用しない、さらには信頼しない傾向がある。アメリカ合衆国におけるその実情の一端を、ニュースの取得や姿勢の観点で、同国の民間調査機関Pew Reserch Centerが2016年7月7日付で発表した調査報告書【The Modern News Consumer】をもとに確認する。
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今調査の調査要綱や「ニュース」の定義は先行記事の【テレビ、ネット、ラジオ、紙の新聞…米国でのニュース取得事情】を参照のこと。
次に示すのは年齢階層別に仕切り分けした上での、ニュースへの姿勢についての同意率。
↑ ニュースへの姿勢(米国、2016年2月)
ニュース取得に割けるリソースがあるか、生活の上で必要性があるかなど個々の事情も多分に影響するが、若年層ほどニュースへの関心は薄く、歳を取るに連れて関心度は強くなっていく。また、全国ネットワークのテレビ局や全国向けの新聞のような全国メディアが提供する情報を大よそ信頼している、さらにそれらのメディアは情報配信という業務の上で良く仕事をこなしている、立派に情報配信という社会的責務を果たしていると考えている人も、歳を経るに連れて増えていく。若年層はニュースに関心が無いだけでなく、従来型の情報メディアへの信頼度も低いようだ。あるいは信頼していないからこそ、ニュースへの関心度が低い面もあるのだろう。
ニュースそのものへの関心度の違いや、メディアへの傾注度・心腹度の差は、ニュースを取得するルートの差にも表れている。
↑ 普段どのルートでニュースを取得しているか(複数回答)(米国、2016年2月)
若年層はニュースそのものへの関心度が低いため、取得率そのものも低いが、同時にメディア間の相対的な立ち位置もインターネット系のものが高い傾向がある。29歳まではウェブ・アプリとソーシャルメディアがほぼ同率で3割強、次いで地方テレビ局が2割強となり、紙媒体の新聞は5%しかいない。歳を経るに連れて紙の新聞やテレビ、ラジオなどの利用率は大きな伸びを見せ、インターネット系の値は小さくなっていく。
今件は複数回答なので直接合算するのはリスクがあるものの、年齢階層別にすべての回答率を足して、インターネット系の回答率が全体に占める比率を計算すると、29歳までは1/4程度になる一方で、30-49歳ではウェブ・アプリ系は2割強、ソーシャルメディアは1割強、65歳以上だとそれぞれ6%・2%でしかない。
今件ではニュースとひとくくりにまとめているが、年齢によって興味関心のある、取得したいニュースのジャンルは大きく異なる。その掲載場所の違いも選択するメディアの差異に表れているのだろう。とはいえ、ここまで取得するルートの傾向に違いが生じると、いわゆる世代間ギャップも大きなものとなるのは当然なのかもしれない。
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