防衛・安全保障への対策は実のところどれほど望まれているのだろうか(最新)

2024/03/26 02:36

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2024-0318自国を他国の侵略、武力行使から守り、秩序を維持するのに欠かせないのが自衛力となる軍事力。安全保障のために存在するだけでも意義のある実行力であり、抑止力でもある。その防衛や安全保障の施策を、国民はどれほど望んでいるのだろうか。内閣府が2024年3月8日に発表した、定点観測的に調査を行っている「国民生活に関する世論調査」の最新版となる2023年版などから確認していく(【発表リリース:国民生活に関する世論調査】)。

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どのような層が「防衛・安全保障」を強く望むのか


調査要件などは先行記事【政府への要望、物価対策に景気対策(最新)】を参考のこと。

最初に示すのは直近年分の政府への要望の一覧。提示された選択肢の中で「防衛・安全保障」は34.3%の人が要望している。順位としては8番目。上位には先行記事で挙げた「物価対策」「景気対策」「医療・年金などの社会保障の整備」「高齢社会対策」などが並ぶ。

↑ 政府に対する要望(2023年)
↑ 政府に対する要望(2023年)

意外に思う人もいるかもしれないし、当然、むしろまだこれでも低いと感じる人もいるだろう。

この「防衛・安全保障」を求める声の大きさをいくつかの属性別で見たのが次のグラフ。回答者の居住地都市規模別や男女別・年齢階層別に区分したもの。

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、都市規模別)(2023年)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、都市規模別)(2023年)

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、男女別・年齢階層別)(2023年)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、男女別・年齢階層別)(2023年)

都市規模別ではほぼ同じで傾向だった動きは見られない。東京都区部がいくぶん高い程度か。有事の際に被害を受けやすいか否かの観点では、都市部の方が高い値を示すような気がするのだが。

男女別では男性の方が高いが、年齢階層別では年齢が上になるに連れて値が高くなる傾向がある。年齢が上の人ほど、防衛や安全保障に関する政府への要望意識が強いようだ。

属性別動向としては「男性」「高齢層」に高めの傾向が出ていると表現できるだろう。

経年変化を確認する


現状では以上のような結果ではあるが、それでは過去ではいかなる思いが寄せられていたのか。1998年以降の全体値の動きを示したのが次のグラフ。よい機会でもあるので、政府が担う施策として類似の項目である「外交・国際協力」を併記したグラフも加えておく。

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障)

↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、外交・国際協力)
↑ 政府に対する要望(防衛・安全保障、外交・国際協力)

2006年の値が双方とも突出しているが、これは調査直前の2006年8月に北方領土近辺で、根室市のカニかご漁船第31吉進丸がロシア警備艇に銃撃の上拿捕され、漁船の乗組員1名が射殺、3名が拘束された(第31吉進丸事件)のを受けての動き。それをのぞけば多少のぶれはあるものの、防衛・安全保障と外交・国際協力ともに年々上昇しており、対外施策の重要性を認識しているようすがうかがえる。

2021年では防衛・安全保障の値が大きく跳ねているが、2021年分では新型コロナウイルス感染症への対策のため、過去の調査と比べると調査方法や設問様式に違いがあることから、イレギュラーが出ているのかもしれない(今設問においては選択肢の観点では過去と変わらず、調査方式に違いがあるのみ)。あるいは主に中国の強硬な軍事的圧力の実情報道が影響しているのかもしれないが。あるいはロシアとウクライナ・ヨーロッパ諸国との間に生じた緊張に影響を受けたのだろうか。

そして防衛・安全保障の値の2022年分が2021年に続き前年比で大きな増加を見せているのは、ロシアによるウクライナへの侵略戦争による影響とみてよいだろう。直近2023年では前年比で大きく落ち込んでいるが、前年までの急上昇の反動や、慣れによる緊張感の希薄化が影響しているものと考えられる。


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