財政健全化は実のところどれほど望まれているのだろうか(最新)
2025/02/12 02:33


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どのような層が「財政健全化」を強く望むのか
調査要件などは先行記事【政府への要望、物価対策に医療・年金などの社会保障の整備(最新)】を参考のこと。
最初に示すのは直近年分の政府への要望の一覧。提示された選択肢の中で「財政健全化」は22.6%の人が要望している。順位としては15番目。上位には先行記事で挙げた「物価対策」「医療・年金などの社会保障の整備」「景気対策」「高齢社会対策」などが並ぶ。

↑ 政府に対する要望(複数回答)(2024年)
喧伝される勢い、声の大きさからすれば、意外な値には違いない。
この「財政健全化」を求める声の大きさをいくつかの属性別で見たのが次のグラフ。回答者の居住地都市規模別と男女・年齢階層別で区分したもの。

↑ 政府に対する要望(財政健全化の推進、都市規模別)(2024年)

↑ 政府に対する要望(財政健全化の推進、男女別・年齢階層別)(2024年)
回答者の居住地都市規模別ではおおよそ人口密集地ほど高い値が出る傾向があるようだ。東京都区部では26.3%もの値が出ている。
男女別では男性の方が高く、年齢階層別では傾向を見いだせるような動きは見られない。一番低いのは40代の18.7%。
属性別動向としては「男性」「人口密集地域の居住者」に高めの傾向が出ていることになる。とはいえ、多くても3割にも届かない。
経年変化では
現状では以上のような結果ではあるが、それでは過去ではいかなる思いが寄せられていたのか。1998年以降の全体値の動向を示したのが次のグラフ。

↑ 政府に対する要望(財政健全化の推進、2009年までは財政構造改革)
2010年で大きく値が伸びている。これはグラフタイトルにもある通り、この年から選択肢の記述を「財政構造改革」から「財政健全化の推進」に変更したため。しかしその年の値がピークとなり、以後はおおよそ漸減、そして2018年からは漸増しているのが実情ではある。直近2024年では22.6%となり、過去最高を記録した前年2023年の27.5%からは大きく落ち込んでいる。
「財政健全化」に関しては国の経済的信用を維持するのに欠かせない、健全化を果たすことは次世代への責務だ、デフォルトの可能性がある、国債こと「国の借金」に頼るのは問題だとの意見が強い。他方、統合政府の概念で考えるべきだ、「国の借金」の考え方そのものが筋違いである、発行した国債を国の機関である日本銀行が買い取りをする行為は、欧米が経済の立て直しのために似たような事をしているのになぜ日本だけ非難されるのか、収支バランスが崩れたのは主に高齢者向けの社会保障によるものだから、根本的に解決しようとするならその部門を削ることになるがそれでもよいのか、さらに「財政健全化」は国の経済の安定化のために成すものであり、それを成すために経済を弱体化させたら本末転倒ではないかなど(欧州の某国がよい例)、多様な意見がある。
その賛否はさておくとして。「財政健全化」は国民からの要望としては、優先順位はこのような結果ではある。少なくとも「国民の大きな声として」とは言い難いのが実情だろう。
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