個人情報を提供する時、どこまで理解してる? ポリシーを確認してる? 日本と諸外国の実情
2017/09/27 05:16
インターネットでさまざまな取引をする際に、利用者側がプライベートな情報をネット経由で提供しなければならない場面は多々生じる。サービスの利用のために登録する時、インターネットバンキングで自分の口座へアクセスする時、ネット通販サイトで買い物をする時などなど。その際に、提供した個人情報がどのように使われるのか、どこまで理解しているのだろうか。今回は2017年7月28日に総務省から発表された2017年版の情報通信白書の内容をもとに、日本に加え韓国、中国、米国、イギリス、ドイツにおける実情を確認していくことにする(【発表リリース:平成29年「情報通信に関する現状報告」(平成29年版情報通信白書)の公表】)。
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今件部分に直接かかわりのある情報の調査は「安心・安全なデータ流通・利活用に関する調査研究」が該当する。この調査は2017年3月に日本・韓国・中国・米国・英国・ドイツの一般消費者の20代から60代の男女にインターネット経由で行われたもので、有効回答数は6180人、各国1030人。男女、10歳区切りの年齢階層比で均等割り当て。
次に示すのは個人情報をインターネットで入力して提供する際に、その情報の利用目的をどこまで把握し理解しているかについての回答実情。「なんだかよく分からないけど求められているから提供すればいいか」といった理解度なのか、「このデータをこのサービスのこの部分のために、個人の特定確認のために用いている。理解できるので提供しよう」として理解判断しているのか。個人情報に関する慎重性、インターネットのサービスの理解度にも連動する値ではある。
↑ パーソナルデータ提供時の利用目的などの理解度(2017年3月)
日本では理解派が8割強。中米英独でほぼ同率だが、ドイツはやや高めの9割超えで「明確に理解」の度合いも6割強とひときわ高い。逆に韓国は理解派が6割に留まっており、「明確に理解」も1割強でしかない。インターネットの各種サービスへの信頼性の違いか、国情の相違によるものかは今件調査だけでは判断できないが、個人情報をインターネット経由で提供することへの考え方の国ごとの違いが表れており、きわめて興味深い。
個人情報を提供する際に、その利用目的をどこまで理解するか以外に、その情報の取り扱いに関わるポリシーや利用規約の確認も欠かせない。もっとも、大抵は長文で書かれているため、家電商品の説明書のように「なんか書いてあるけど特に目を通さなくても問題は無いでしょう」とスルーしてしまう場合もあり得よう。
↑ パーソナルデータ提供時におけるプライバシーポリシーや利用規約の確認状況(2017年3月)
あの長いプライバシーポリシーや利用規約に目を通すのは難儀する、どのみち同じような内容ばかりだからとパスしてしまう傾向なのは世界共通のようで、大体半数程度の人が確認しない派となっている。個人情報の利用目的への理解掌握度が9割を超えたドイツでも、確認する派は5割程度。日本は4割。他方、韓国はこちらも低く2割程度でしかない。
白書ではこの状況に関して、日米英独中では一定の相関(因果関係ではない)が見られる、韓国は理解度と確認状況が低いとの事実を示している。無論理由はこの調査からだけでは不明だが、韓国ではインターネットサービスに関わる個人情報への取り扱いの概念や環境が、他国とは違うところがあるのかもしれない。
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