就業してるか失業中か…学歴別の就業状態(最新)
2022/06/18 02:41
総務省統計局が2022年5月27日に発表した、5年に一度実施する国勢調査の最新版となる2020年国勢調査における就業状態等基本集計の確定報では、日本の現状を推し量れるデータが多数公開されている。今回はその最新値を基に過去の国勢調査の公開値も合わせ、学歴別に見た就業の現状を確認していくことにする(【令和2年国勢調査】)。
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国勢調査は1920年に開始されて以降原則5年おきに実施され(1945年分は終戦関連で延期され1947年に臨時調査が代替実施)、2020年調査分で21回目となる継続調査。また10年おきの調査は大規模調査として、より詳細な項目の調査が行われている。
大規模調査では調査年の15歳以上の人における最終学歴なども問われ、その結果もさまざまな切り口によって公開されている。そこで大規模調査の直近分となる2020年の結果につき、学歴別に現在どのような就業状態にあるかを確認した結果が次のグラフ。就業に関して不詳との回答者は除いて計算している。また就業内容は問われていない。
↑ 卒業者の最終卒業学校種類別15歳以上人口の割合(不詳除く)(2020年)
【全体2.9%、大学・大学院卒2.1%…日本の学歴・年齢階層別完全失業率(最新)】や【日本における学歴・男女別と完全失業率との関係(最新)】などでも言及しているが、一般的に高学歴になるに連れて完全失業率は低くなる。今件は定年退職者などの高齢者も合わせた全体としての値なので、非労働力人口に該当する人も含めた合算ではあるが、おおよそ高学歴者ほど就業率は高く、失業率も低い値となる。
これを男女別に区分した上で再計算したのが次のグラフ。
↑ 卒業者の最終卒業学校種類別15歳以上人口の割合(不詳除く、男女別)(2020年)
男性と比べて女性の就業者率が低く非労働力人口の値が高いのは、多分に結婚して家事従業者となっているため。また影響はさほど大きくないが、女性の方が長生きをしているため、高齢者における非労働力人口の加算が比率を押し上げている。
他方、値そのものに違いはあれど、男女を問わず高学歴の方が完全失業者の比率は高い。男性で高校・旧中卒の3.9%は完全失業者だが、大卒・大学院卒者は2.5%にとどまっている。
学歴はそれ自身が就業条件となっている場合もあるが、多分に本人の学力、能力による結果であり、指標以上のものではない。今件は「高学歴ほど就業率が高い」実態を全般的な視点から裏付けたものではあるが、それが「学歴があれば本人の能力は二の次でも就業上好条件となる」ことを意味しない点には注意したいところではある。
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